打鳴(読み)うちならし

精選版 日本国語大辞典 「打鳴」の意味・読み・例文・類語

うち‐ならし【打鳴】

〘名〙
① 打って鳴らすこと。
楽器一種。石、玉、銅、鉄などの「への字形」の板をつりさげてうちならすもの。仏具として勤行(ごんぎょう)のとき使用する磬(けい)の俗称。うちなし。〔十巻本和名抄(934頃)〕
仏前に置く、椀形の金属製の鳴り物。鈴(りん)。〔日葡辞書(1603‐04)〕

うち‐な・す【打鳴】

〘他サ四〙 (「なす」は「ならす」の古語) =うちならす(打鳴)
万葉(8C後)一一・二六四一「時守の打鳴(うちなす)鼓数(よみ)みれば時にはなりぬ逢はなくも怪(あや)し」

うち‐なら・す【打鳴】

〘他サ五(四)〙 打って鳴らす。うちなす。
※枕(10C終)二九〇「弦(つる)うちならしてなん」

うち‐な・く【打鳴】

〘自カ四〙 (「うち」は接頭語) 動物がなき声を出す。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「鶴いとあはれにうちなきてわたる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「打鳴」の意味・わかりやすい解説

打鳴 (うちならし)

仏事用の鳴物(楽器)の一種。寺院で用いられる鏧(きん)/(けい)を小型にしたもので,一般家庭の仏壇に置かれる。響銅製で小さな鉢の形をしており,下に座布団を敷き,細い金属製の棒,または木製の細棒で縁を打って音を出す。鏧,鏧子(けいす),小鏧(しようきん),鋺(金椀)(かなまり),鈴(りん)などともいう。また打鳴は寺院で用いる大型のものを指す場合もある。
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