押戻(読み)おしもどす

精選版 日本国語大辞典 「押戻」の意味・読み・例文・類語

おし‐もど・す【押戻】

〘他サ五(四)〙 おして後方へさがらせる。もと場所へもどらせる。また、単に「もどす」の語勢を強めた語。
平家(13C前)一一「舟はきとをしもどすが大事に候」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四「衣類などはことごとく皆押もどして、其手元へは置きも留めず」

おし‐もどし【押戻】

〘名〙 おしもどすこと。特に歌舞伎花道から引っ込もうとする者を、再び舞台までもどすこと。

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改訂新版 世界大百科事典 「押戻」の意味・わかりやすい解説

押戻 (おしもどし)

歌舞伎荒事の一演出,およびその役。歌舞伎十八番の一つ。《道成寺》《双面(ふたおもて)》《女鳴神》などの幕切れ近く,隈取,鬘,衣装など荒事扮装に簑を着,竹笠と太い青竹を持って登場し,怨霊妖怪を花道から舞台に押し戻す。1727年(享保12)3月江戸中村座の《国性爺竹抜五郎こくせんやたけぬきごろう)》で2世市川団十郎が初演したとの説があるが不明。1934年東京歌舞伎座で5世市川三升(10世団十郎)が一幕物として上演している。
娘道成寺
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「押戻」の解説

押戻
(通称)
おしもどし

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
国性爺竹抜五郎
初演
享保12.3(江戸・中村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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