押水(読み)おしみず

日本歴史地名大系 「押水」の解説

押水
おしみず

大泉おおしみず三庄(北庄・中庄・南庄)は解体後、戦国期に至り「押水三ケ」と呼称されるようになる。「オシミズ」は「オオシミズ」が転訛したものとみられる。「天文日記」天文八年(一五三九)九月一五日条に故地小川おがわ村を追われ加賀木越きごし(現金沢市)に居住していた「押水おしみつ光専寺」が石山本願寺の三十日番衆を勤めたとあるのが早い。この地域は東は越中国、南は加賀国河北郡に接する要衝であることから戦国中期以降、しばしば戦国大名の権力争いの場となった。天文七年八月能登守護畠山義総に抗して出奔した義総舎弟の駿河ら三兄弟のうち、九郎が同九年二月頃に「加州与能州堺目」に居して路次をふさいでいる(「天文日記」天文九年二月一九日条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「押水」の意味・わかりやすい解説

押水
おしみず

石川県中北部、羽咋郡(はくいぐん)にあった旧町名(押水町(まち))。現在は羽咋郡宝達志水(ほうだつしみず)町の南部を占める地域。1954年(昭和29)柏崎(かしわざき)、末森(すえもり)、北荘(きたのしょう)、中荘、北大海(きたおおみ)の5村が合併して町制施行。2005年(平成17)羽咋郡志雄(しお)町と合併し、宝達志水町となった。地名は中世以来の押水荘に由来する。能登(のと)半島の基部にあり、東は宝達山、西は日本海に面する。JR七尾線、国道159号、249号、471号、のと里山海道が通じる。前田利家(としいえ)が佐々成政(さっさなりまさ)を敗退させた末森城跡がある。米作を主にブドウイチジクを産し、繊維工業、電子工業なども発達する。県の畜産総合センターがある。宝達山はかつて金を産し、いまは葛(くず)粉が有名。山頂は眺望に優れ、無線中継所がある。また町には弘法(こうぼう)大師が岩を押して水を出したという押の泉の伝説がある。加賀藩十村(とむら)役(大庄屋(おおじょうや))喜多家住宅(きたけじゅうたく)は国指定重要文化財。

[矢ヶ崎孝雄]

『『押水町史』(1974・押水町)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「押水」の意味・わかりやすい解説

押水
おしみず

石川県能登半島の基部西岸にある宝達志水町南部の旧町域。 1954年柏崎村,末森村,北荘 (きたのしょう) 村,中荘 (なかのしょう) 村,北大海 (きたおおみ) 村の5村が合体,町制施行。町名は中世以来の荘名による。 2005年志雄町と合体して宝達志水町となった。中心市街の宝達は,能登半島の入口にあたる要地で,農村地帯の中心地として早くから開発が進んだ。西流する宝達川,前田川,大海川流域を占め,主産業は米作のほか,砂丘地帯ではブドウが栽培される。牧畜も盛んで宝達山の西麓に県営の畜産試験場があり,乳牛が飼育されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「押水」の意味・わかりやすい解説

押水 (おしみず)

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