拮抗力(読み)きっこうりょく(英語表記)countervailing power

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「拮抗力」の意味・わかりやすい解説

拮抗力
きっこうりょく
countervailing power

経済社会のなかに存在する経済権力に対抗し,それを相殺する権力。 J. K.ガルブレイスが名づけたもので,彼は『アメリカの資本主義』 (1952) のなかで現代資本主義経済はこのような拮抗力によって平衡が保たれているという理論を展開した。今日の社会は消費者主権が保証されず,現代のビッグ・ビジネスの多くは独占または寡占市場のなかで巨大な力をもっている。このような企業に対して,社会的厚生見地からその力を牽制する組織をつくり上げることで抑制力とし,そこに平衡的な関係を形成してフェアな競争を実現させようとする。たとえば労働条件をめぐる対立において大企業に対する労働組合,消費者運動を通じて行う製品の不買活動などによって大企業の社会的責任の遂行を迫るという形で拮抗力が働くとする。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android