(読み)ネツ

デジタル大辞泉 「捏」の意味・読み・例文・類語

ねつ【捏】[漢字項目]

[音]ネツ(呉) デツ(漢) [訓]こねる
こねて作りあげる。でっちあげる。「捏造ねつぞう・でつぞう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捏」の意味・読み・例文・類語

こ・ねる【捏】

〘他ナ下一〙 こ・ぬ 〘他ナ下二〙
① 手や棒状の道具を使って粉や土などをかきまぜる。あるいはそれに水を加えるなどしてねりまぜて均質にする。ねやす。
※名語記(1275)五「粉を水に和するをこぬといへり」
※春と修羅(1924)〈宮沢賢治〉風景とオルゴール「米国風のブリキの缶で小麦の粉を捏(コ)ねてゐる」
② いろいろと試みてみる。念を入れてあれこれしたり、考えやことばなどをひねりまわしたりする。こねまわす。
※玉塵抄(1563)三「風月を、もてなしにして、きっつ、へいつ、あえつ、こねつして、風月のことを、云て」
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉一五「理屈を捏(コ)ねて我独り聖人顔せんよりは」
③ 無理なことを言って人を困らせる。難題を言いかける。
浄瑠璃忠臣金短冊(1732)四「それにこちらの山の神が、同じやうな握っこ、〈略〉あんな奴等がこねるとな」

でっ・ちる【捏】

〘他タ上一〙
① 餠(もち)、粉、泥土などをこねる。こねあげる。つくねる。
洒落本・禁現大福帳(1755)一「糝粉をとくと煉(デッチ)紅粉を以て采色(いろどり)
※雑俳・川柳評万句合‐明和元(1764)鶴五「うなされた夜は女房にでっちられ」
② どうかこうか、ある形、状態につくりあげる。
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「うぬは〈略〉並木へ出てやすみにでっちておいた薼取(ごみとり)なんぞをならべて売りゃアがるのだア」
※古川ロッパ日記‐昭和一三年(1938)一月一七日「『ロッパ自叙伝』十枚を、日日の『人生レヴィウ』の抜き書きでデッチる」

つくね【捏】

〘名〙
① (動詞「つくねる(捏)」の連用形名詞化) 手でこねてまるくかためること。また、そのもの。〔和玉篇(15C後)〕
② 「つくねいも(捏芋)」の略。
※俳諧・本朝文選(1706)四・説類・山芋説〈吾仲〉「畑に植てまろがせとなるを。つくねと呼んで。其功もすくなく。其味も次也」
魚肉鶏肉をたたいて細かくし、卵や山芋などをつなぎに加え、手でこねて丸くしたもの。

つく・ねる【捏】

〘他ナ下一〙 つく・ぬ 〘他ナ下二〙 (「つぐねる」とも)
① いくつかのものを合わせて一つにする。つかねる。まとめる。
※玉塵抄(1563)一〇「孟光がかざらいでかみを一つにつくねてゆうたぞ」
② 手でこねてまるめ固める。手でこねて作る。
※玉塵抄(1563)一「つくねて小まるうして土をつくねたやうにしてそれを用次第につかうたぞ」
③ 雑然と積みあげる。押し重ねる。
※妻(1908‐09)〈田山花袋〉二〇「衣裳がぬいだままに畳まずに座敷の一隅につくねてある」

こね‐く・る【捏】

〘他ラ五(四)〙
① こねまわす。いじりまわす。こねる。
※人情本・春情花の朧夜(1860頃か)二「女の唇を舌の先にて少し(コネ)くり」
② 物事をあれこれいじりまわして、紛糾させる。あれこれ議論して困らせる。
※福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉緒方の塾風「是れは一番こねくって遣らうと」

つく・ぬ【捏】

〘他ナ下二〙 ⇒つくねる(捏)

こ・ぬ【捏】

〘他ナ下二〙 ⇒こねる(捏)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「捏」の解説

捏 (ツクネ)

植物。ヤマノイモ科の多年生つる植物。ツクネイモの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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