排日問題[アメリカ合衆国](読み)はいにちもんだい[アメリカがっしゅうこく]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

排日問題[アメリカ合衆国]
はいにちもんだい[アメリカがっしゅうこく]

アメリカ合衆国における日本人移民に対する差別および日本人移民禁止の問題。アメリカの太平洋岸,特にカリフォルニア州への日本人移民が 20世紀初めに増加したが,1906年サンフランシスコ市は日本人学童を公立学校から締出した。 T.ルーズベルト大統領は日米関係の悪化を防ぐために同市に働きかけて差別をやめさせるとともに,排日感情の高まりを防ぐために日本政府に移民の自主規制を求めて協定を結んだ。しかし,カリフォルニア州では日本人排斥運動がさらに高まり,日本政府の抗議,連邦政府の反対にもかかわらず,13年には日本人移民の土地所有を禁止し,20年には借地をも禁止する州法が制定され,他の州でも同様の州法が制定された。 24年の移民法案に日本人移民禁止をねらいとする条項を入れる動きが議会で生じた際も,行政部は適切な対策をとらず,日本政府の働きかけはかえって議会を硬化させる結果となり,排日条項を含む移民法が成立した。日本の世論は激高し,反米感情が高まった。 (→日系アメリカ人 )  

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