探査(読み)たんさ

精選版 日本国語大辞典 「探査」の意味・読み・例文・類語

たん‐さ【探査】

〘名〙 さぐり調べること。
※遁花秘訣(1820)序「相州浦賀に諳厄利亜の商船来りし時、予、又命〔を〕奉じて彼船に到り、其始終を探査せり」

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デジタル大辞泉 「探査」の意味・読み・例文・類語

たん‐さ【探査】

[名](スル)未知の物事について、さぐり調べること。「鉱脈の有無を探査する」
[類語]精査踏査探る探す尋ねるあさる探し求める物色する求める見出す探り出す探し出す探り当てる探し当てる探りを入れる探し物模索捜索渉猟家捜し穿鑿ほじくる粗探し探求探検検索手探り調べる洗う当たる調査する探索研究分析検分詮索せんさくする調べ鑑査監査審査審理検討吟味けみするリサーチアンケート

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改訂新版 世界大百科事典 「探査」の意味・わかりやすい解説

探査 (たんさ)
exploration

未知の対象物を探ることをいうが,一般に離れた所から調べる意味合いで使われることが多く宇宙探査海洋探査,資源探査などのようにいう。とくに高度の技術的背景のあるとき,このことばが好んで用いられている。原理的に対象物を非接触で探る場合には,対象物からなんらかの物理的あるいは化学的影響を受けとり観測することになるが,物理的現象を用いるものにリモートセンシング物理探査技術などがある。それぞれ電磁場,重力,磁力場,音波,地震波などを観測する。また化学的な探査方法では対象物から生ずる化学的微量成分の検出が必要となる。地化学探査はその例である。いずれにせよ探査ではこれらの現象を調べるセンサーが必要で,目的によりこれを搭載する人工衛星,航空機,車,船舶などが使われる。地球を調べるためアメリカで打ち上げられた探査衛星ランドサットのシリーズは可視,近赤外の帯域の電磁波を電子的に観測したが,有人衛星では通常のカメラも用いられた。同じくアメリカの火星探査バイキング計画では無人で作動する土壌分析装置からの分析結果が地球に送られた。電波そのものの観測も有力な手段で,地球表面あるいは宇宙からの自然発生的電磁波を調べ対象物を知ることもできる。いっぽう対象物をいっそう積極的に調べるには観測点から電磁波,音波等を発信し,その反応すなわち反射を調べることが有効であるが,これは能動的探査と呼ばれ,自然発生的現象を観測する受動的探査と区別している。たとえばリモートセンシング技術の一つであるレーダーシステムは昼夜を問わず使用でき,しかも波長が1μm近辺の可視,近赤外域よりはるかに長く1~10cmの桁なので,雲,もや等を透過し,目的によってはきわめて有効である。雲に囲まれた金星表面はレーダーで探査されている。いっぽう実生活に直結した探査には資源探査があり,地質調査,物理探査,ボーリング等,多くの技術が総合的に用いられる。このような地下の鉱物資源の探査は古くから〈探鉱〉と呼ばれてきた。したがって,このような意味では物理探査を今でも物理探鉱と呼ぶことがある。現在各種の探査中最も大規模に組織的に行われているのは石油の探査で,高度に進歩した技術が使われ,エネルギー供給に役立っている。

 一般に最近の探査技術は情報工学的色彩を強くもっており,信号解析,コンピューター利用技術など先端技術が駆使されている。たとえば石油探査のための海洋物理探査船は重力,磁力,地震の各探査を同時に行う情報収集船であり,また火星,木星などの惑星探査の例でみられるみごとな画像は信号強調ならびに画像の作成強調など高度な情報処理技術によって得られている。しかし技術的には,これらの観測システムはセンサー,画像処理技術のみでは完結しない。たとえば,組織的に地球表面を衛星を用いて調べるには,観測データの受信,衛星制御システムのみならず,観測結果である各種の画像,データの全世界への配布システムなどが不可欠であり,大がかりな総合システムによるものである。気象衛星GMSの場合,国際的に複数の静止軌道衛星を配置,協力する体制がとられている。いっぽう海洋の学術的探査も重要で,音波,地震波を用いて海底地形,地質等が以前より調べられている。これに加えて海洋における組織的な重力,磁力探査,あるいは海洋底のボーリングは,未知のことが多い海域について新たな知識をわれわれに与えてきた。海洋底が移動しこれにつれて大陸が動きつつあるという,いわゆるプレートテクトニクスの考えは,多くの海域に関する組織的な探査の結果により得られたものであり,人工衛星により得られる地球に関する知識とともにわれわれの地球観を大きく変えてきた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「探査」の意味・わかりやすい解説

探査
たんさ
exploration
prospecting

工学的用語というよりも普通名詞の語感が強く、科学的方法により対象現象を、文字どおり探りを入れて調べることである。従来、有用な地下資源である石油・天然ガス、金属鉱床、石炭層などの地質構造を探すことを探鉱と表現していたが、探す対象の多様化により、最近では探鉱を含めて探査が一般的に用いられている。しかし、語義の内容が拡張されたために不明確になるので、接頭語をつけて内容を限定している。探査に用いる方法や方式と、探査を適用する場所と対象を並記することが多い。方法には物理探査、化学探査(地化学探査)などがあり、適用する場所には地表、地中、空中、海洋などがある。対象には石油・天然ガス、石炭、金属鉱床、地熱、地下水、断層破砕帯などがある。もちろん、鉱床の探査では探鉱という場合も多い。また探査の対象は地球のみでなく、宇宙の現象にも拡張されて用いられるようになった。

[吉住永三郎・芦田 讓]

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普及版 字通 「探査」の読み・字形・画数・意味

【探査】たんさ

しらべる。

字通「探」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の探査の言及

【鉱山】より

…また戦争など国策的な理由で,採算を度外視しても採掘を行わなくてはならない場合もある。
[鉱床の探査]
 鉱山の開発はまず,鉱床の探査,発見から始まる。鉱床の大部分が地下深くにあるために,鉱床を探す仕事にはいろいろと困難な問題が存在し,地質学,物理学,化学など総合的な知識の活用が必要である。…

【探鉱】より

…金属,石炭,石油などの鉱床の存在を調べ評価すること。同義に使われることもある〈探査〉はより広義である。探鉱法には,地質学的調査のほか,物理探査や,岩石,土壌,地下水等の化学分析による地球化学的方法などがある。…

※「探査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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