掩蔽(読み)えんぺい(英語表記)occultation

翻訳|occultation

精選版 日本国語大辞典 「掩蔽」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぺい【掩蔽】

〘名〙
① おおいかくすこと。かくしてわからなくすること。
太平記(14C後)二四「本寺本山之威光、白日空被掩蔽(エンヘイ)」 〔礼記月令
② 月が天球上を動いている間に、惑星恒星を隠す現象星食

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デジタル大辞泉 「掩蔽」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぺい【×掩蔽】

[名](スル)
おおい隠すこと。「旧悪掩蔽する」
地球恒星または惑星との間に月が入り、恒星・惑星を隠す現象。月の位置精密測定に利用される。星食せいしょく

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「掩蔽」の意味・わかりやすい解説

掩蔽
えんぺい
occultation

月が恒星や惑星などの前にきて、それらの天体を隠す現象。日食月食に対して星食ともよぶ。明るい恒星の掩蔽はめったにおこらないが、月の通り道である白道に近いレグルス、スピカアンタレスアルデバランなどの1等星は比較的多く掩蔽される。6等星ぐらいまでの恒星の掩蔽は毎年数十回見ることができる。月が明るいと暗い星の掩蔽は見にくく、満月前は月の欠けた暗い縁に入るので見やすいが、満月後は明るい縁に入るので見にくい。恒星はほとんど点光源のように見え、瞬間的に隠れ、また現れるので、その時刻測定は、月の位置や運動の研究上重要視されてきた。しかし月の形は真円ではなく、山や谷の凹凸があるので、問題は複雑である。近年は月の周縁の凹凸がかなり詳しく調べられており、月の北や南の端を恒星がかすって通るいわゆる接食の観測が重要視されている。

 惑星が月に隠されることもあり、また惑星が恒星を隠すこともある。これらも掩蔽の一つである。木星土星のように濃い大気をもつ惑星が恒星を掩蔽するときは、恒星がしだいに暗くなるようすから大気の性質の研究に役だったこともあるし、1977年には天王星が恒星を隠したときの観測から、天王星に細い環が発見された。さらに小惑星による恒星の掩蔽も近年盛んに観測され、そのなかから衛星のようなものがある小惑星も発見されている。

[村山定男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「掩蔽」の意味・わかりやすい解説

掩蔽
えんぺい
occultation

普通は月が太陽以外の他の天体を隠す現象。星食ともいう。月による恒星の掩蔽に比べると,惑星の掩蔽はかなりまれであり,惑星による恒星の,あるいは惑星同士の掩蔽はほとんど起らない。ただし,惑星によるその惑星の衛星の掩蔽は,たとえば木星の場合など,きわめて頻繁に観測される。掩蔽現象は,月や惑星,衛星の軌道を精密に測定するのに役立つ。

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改訂新版 世界大百科事典 「掩蔽」の意味・わかりやすい解説

掩蔽 (えんぺい)

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百科事典マイペディア 「掩蔽」の意味・わかりやすい解説

掩蔽【えんぺい】

星食

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世界大百科事典(旧版)内の掩蔽の言及

【星食】より

…掩蔽(えんぺい)ともいう。月や惑星が恒星,惑星,衛星を隠す現象。…

※「掩蔽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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