搬送電話(読み)はんそうでんわ

百科事典マイペディア 「搬送電話」の意味・わかりやすい解説

搬送電話【はんそうでんわ】

一つの電話回線に多数の信号をおのおの異なった周波数搬送波にのせて送り,送受端でそれぞれフィルターで選別して対応した通話を結ぶ方式の電話。電力線を伝送路とする電力線搬送の一つ。日本では電波法により送信出力は10W以下,使用周波数は10〜450kHzの範囲と決められており,この範囲で3通話路,6通話路,12通話路などの多重通信路が構成されている。→多重通信マイクロ波多重通信
→関連項目電話搬送ケーブル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「搬送電話」の意味・わかりやすい解説

搬送電話
はんそうでんわ

音声信号伝送するために、適当な周波数の搬送波を音声信号で変調して線路ケーブルに送出し、受信側では適当なフィルターで音声信号を分離・再生する方式の電話回線のことをいう。多数の搬送波を用いてそれぞれの周波数を別々の音声信号で変調し、伝送可能な周波数帯域内に配置(多重化)すれば、多数の電話回線の伝送路となる。これが周波数分割多重方式による搬送電話であり、アナログ通信時代の長距離電話回線の主力となる技術であった。

 搬送電話として最大の回線数を有したC-60M方式は、同軸ケーブルを用いて60メガヘルツまでの周波数域を利用して1万0800の電話回線を伝送する能力があった。1990年代に入り、光ファイバーケーブルによるデジタル通信が普及するまで、日本の電話網の幹線ルートに広く使われていた。

 一方、搬送電話は、電力会社の高圧送電線を利用して、発電所と変電所間の連絡用電話としても使われていた。これを電力線搬送電話という。

[三木哲也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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