すり‐ごろも【摺衣】
〘名〙 (「すりころも」とも)
山藍(やまあい)や
鴨跖草(つきくさ)などの染め草の汁ですりつけて、
草木・花鳥など種々の
模様を染め出した衣。
藍摺(あいずり)・
丹摺(にずり)・
忍摺(しのぶずり)などがある。すりぎぬ。
※続日本紀‐天平一二年(740)正月癸卯「五位已上賜二摺衣一」
※
万葉(8C後)一一・二六二一「摺衣
(すりころも)着
(け)りと夢
(いめ)に見つ現
(うつつ)にはいづれの人の言か繁けむ」
すり‐ぎぬ【摺衣】
※枕(10C終)二九五「
蔵人の
式部の丞の、
白馬(あをむま)の日大路練りたる。その日、靱負
(ゆげひ)の佐
(すけ)のすりぎぬやうする」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
摺衣
すりごろも
模様染の一種。草木の花や葉を布にすりつけて自然のままの文様を染め出したもの。また,花や葉の汁でまだらに染めたものもいう。平安時代頃から行われた。後世では花鳥草木の模様を彫り出した版木や型紙を用いて布面に糊を盛り,上からアイ (藍) の葉や種々の花を布に包んだものをこすりつけて模様を染め出すようになった。
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世界大百科事典(旧版)内の摺衣の言及
【鈴懸】より
…江戸後期に行智の著した,修験道入門書ともいうべき《木葉衣(このはごろも)》に,鈴(篠)懸の語義は,山岳修行で篠(ささ)が掛かる意だとある。天台系の本山派は卵色の麻,真言系の当山派は赤色の柿衣,羽黒派は獅子模様を描いた摺衣を使用する。【鈴木 正崇】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」