(読み)こする

精選版 日本国語大辞典 「擦」の意味・読み・例文・類語

こす・る【擦】

〘他ラ五(四)〙
① 物と物とを押し当てたまま、何度も動かす。
四河入海(17C前)二五「さて馬は、風沙の上にまるび臥して、身をこすりて、鬣をふるい」
② 他の事にかこつけていやみや皮肉を言う。あてこする。
※雑俳・柳多留‐二三(1789)「どうるいが有ると母おやこすられる」
③ 使ってなくす。費やす。する。
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「かけがへのねへ大楮幣(おほさつ)をとうとう一枚こすらせられたぜ」
④ 相場で、思惑外れで損失ばかり続く意をいう語。〔取引所用語字彙(1917)〕
[補注]語の成り立ちについてははっきりしないが、「こすり(擦)」の動詞化したもの、あるいは「する(擦)」に接頭語「こ」の付いたものとする説などがある。また、②については、「耳をこする」の略とする説がある。

なす・る【擦】

〘他ラ五(四)〙
① 物の表面に当ててこする。すりつける。こすりつける。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「頭へ青黛を泥(ナス)って、ちと否身たっぷりの拵へ」
自分責任過失などを他の人に負わせる。転嫁する。なすりつける。
※俳諧・七番日記‐文化一二年(1815)七月「屁ひり虫人になすった面つきぞ」

こす・れる【擦】

〘自ラ下一〙 物と物とがすれ合う。こすられる。すれる。
大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉一「穿物(はきもの)三和土(たたき)にこすれる雑音などが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「擦」の意味・読み・例文・類語

さつ【擦】[漢字項目]

常用漢字] [音]サツ(漢) [訓]する すれる こする かする
こする。すり合わせる。「擦過傷摩擦
[名のり]あきら

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【塔】より

…一般に,幅・奥行きに比べて著しく高い建造物,と定義される。しかし,塔には人間が昇っていく場所という意味内容が伴っており,そのため煙突は塔とはいえず,テレビ塔や電波塔もそれだけでは高い構築物にすぎない。また,古代ローマの記念柱であるトラヤヌスの円柱は,中を螺旋(らせん)階段が昇り,塔ともいえる。先史時代の巨石記念物や古代エジプトのオベリスクは,石塊そのものであって塔ではない。 多くの場合,塔は発生的には軍事上の目的(監視,防御)あるいは宗教上の目的(天上世界の希求)をもっており,同時に塔はそれを実現し,支える権力の象徴ともなった。…

※「擦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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