改元難陳(読み)かいげんなんちん

世界大百科事典(旧版)内の改元難陳の言及

【改元】より

…以上,祥瑞,災異,革命を理由とする改元は,年号のもつ呪力によって招福攘災を期するものとも説かれるけれども,むしろ年号にそのような呪力ありとする国家側の信仰もしくは主張を実体化し定着させようとする一種の政治技術と解すべきであろう。 改元手続については,10世紀以降に成った儀式書や行事記録によると,菅原,大江,藤原等の文章道の人々に命じて漢籍から好字を選ばせ(これを年号勘申(かんじん)という),この原案について公卿が審議(これを改元難陳(なんちん)という)したうえで,天皇が決定する定めであった。しかし鎌倉時代に入り承久の乱後の1224年に元仁と改元したのに対して幕府の抗議があってたちまち再度嘉禄と改元し,また1308年同じく幕府の申入れによって延慶と改元,室町時代には1384年の至徳改元が将軍足利義満の発議で行われ,1412年(応永19)即位した称光天皇が幕府の意向で一代の間ついに改元できなかったなど,改元に対する幕府の干渉はしだいに強まり,新年号は将軍の内定を経たうえで天皇が形式的に決定するという方式が室町幕府の下で固定化し,それが江戸幕府にも引きつがれた。…

※「改元難陳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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