攻撃機(読み)コウゲキキ

デジタル大辞泉 「攻撃機」の意味・読み・例文・類語

こうげき‐き【攻撃機】

敵の地上目標や艦船の攻撃を任務とする航空機

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「攻撃機」の意味・読み・例文・類語

こうげき‐き【攻撃機】

〘名〙 敵の艦船、陸上基地などを攻撃するために用いられる爆撃機雷撃機総称航空母艦発着の艦上攻撃機、陸上基地発着の陸上攻撃機がある。
※白い犬(1951)〈永井龍男〉A「B29の編隊と攻撃機の空中戦が行はれ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「攻撃機」の意味・わかりやすい解説

攻撃機 (こうげきき)

地上目標(艦船,戦車,飛行場など)に対する攻撃を主目的とする軍用機で,航空母艦用の艦上攻撃機と近接地上支援用の陸上機型攻撃機の2種類に大別される。アメリカ軍ではこれらを総称してアタッカーattackerと呼んでいる。艦上攻撃機は海上機動部隊の打撃力の中核となる機種で,その主要な行動パターンは,敵のレーダー,対空砲火,戦闘機などによる種々の妨害をかわしながら,母艦より遠く離れた目標に迫り,これに爆弾,ミサイル,魚雷などで攻撃を加え,再び長い距離を飛んで母艦に帰投するという型をとる。したがって,機体としてはコンパクトでがんじょうな構造,良好な発着艦性能,優れた運動性能,長大な航続力,および大きな武器搭載能力を合わせ持たねばならず,装備としては航法,探知,通信,火器管制,ECMなどの精巧な装置を数多く必要とする。このため技術的にはきわめてむずかしい機種とされている。アメリカ海軍のボートA7,マクダネル・ダグラスA18などがこれに属する。陸上機型の攻撃機は,機甲部隊攻撃を第一目的とする陸戦用の機種で,重武装(多量の爆弾,ロケット弾,ミサイル,大口径機関砲などの装備),長い滞空時間,短距離離着陸(STOL)性,良好な低空運動性,およびがんじょうな構造と強い耐弾性に重点を置き,最高速度や電子装備その他の性能は必要最小限に抑えて,極力低価格化を図っている。アメリカ空軍のフェアチャイルドA10などがこの例である。一般に戦車など装甲車両の防御は側面を優先するため,上面はどうしても手薄となる。この種の攻撃機は,この弱い上面に対し上空の有利な位置から強力な攻撃を加えることができるので,機甲部隊に対する最も有効な攻撃手段となっている。垂直離着陸機VTOL)は艦上,陸上いずれの型の攻撃機にとっても有利な特性を数多く有している。航続力が小さいなどの欠点はしだいに改善されているので,将来VTOL攻撃機が盛んに使用される時代の来ることが予想される。現在西側唯一の実用VTOL機ハリアーの攻撃機型がイギリス・アメリカ両軍で使用されている。

 なお,第2次大戦当時の旧日本軍機でこれに相当するものとして,海軍機には〈攻撃機〉(水平爆撃と魚雷攻撃を主とする機種)と〈爆撃機〉(急降下爆撃を主とする機種)があり,また陸軍機には〈襲撃機〉(対戦車攻撃などに使用,近接地上支援を主とする機種)と,小型で運動性のよい〈軽爆撃機〉があった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「攻撃機」の意味・わかりやすい解説

攻撃機
こうげきき
carrier-borne aircraft

空母(航空母艦)搭載用の航空機。ふつう、この種のものを艦載機ともいう。空母は第一次世界大戦の末期に生まれ、第二次世界大戦時には戦艦にかわる海上戦力の中心となったが、艦上機もそれに伴い大きく発展してきた。空母が大型化し、カタパルト発進方式が進歩したことが、艦上機の高性能化に大きく影響している。現代の艦上機は、陸上滑走路に比べてはるかに狭い飛行甲板で発着するため、前脚部に設けた牽引(けんいん)棒をカタパルトにかけて射出され、着艦時には甲板上で横に張ったワイヤに尾部下面のフックをひっかけて制動する。こうした発着艦用装備に加えて、大きな降下角での激しい着艦に耐えられるよう脚を頑丈にし、さらに塩水による腐食対策を十分に施してあるのが艦上機の特徴である。エレベーターや格納庫の大きさによって機体寸法が制限されるので、主翼や尾翼の一部を折り畳み式にしたものが多い。重量的にはカタパルトの能力と甲板強度によって制限が加えられている。

 第二次世界大戦時の空母が積んでいた艦上機は戦闘機、雷撃機、急降下爆撃機の3機種であったが、現在アメリカの大型空母は対地・対艦攻撃にも使える多用途戦闘機を主力とし、これに加えて早期警戒機、電子戦機、輸送・連絡機、対潜・救難ヘリコプターも搭載している。こうした艦上機群をそろえた空母は大きな攻撃力を備えているが、建造・運用の経費が巨額なため、現在このような大型空母を多数保有するのはアメリカ海軍だけで、ほかにはそれよりやや規模の小さい空母をロシアとフランスが備え(中国も建造計画を進めている)、いくつかの国が小型空母をもつにすぎない。小型空母にはSTOVL(ストーブル)(Short Take-Off and Vertical Landing、短距離離陸・垂直着陸)が可能な戦闘・攻撃兼用機とヘリコプターを搭載するのが一般化しつつある。

[藤田勝啓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「攻撃機」の意味・わかりやすい解説

攻撃機【こうげきき】

もとは水平爆撃および雷撃を行う海軍の一機種の呼称であったが,現今は爆弾,ロケット弾,空対地ミサイル,機銃などによる,対地攻撃(艦船,戦車,飛行機などに対する攻撃)を主任務とする小型機をいう。軽快で特に低高度での運動性のよいことが要求される。地形追従レーダーを装備するものも出現している。
→関連項目F117Aステルス戦闘機F/A18ホーネット戦闘攻撃機軍用機

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android