政府管掌健康保険(読み)セイフカンショウケンコウホケン

デジタル大辞泉 「政府管掌健康保険」の意味・読み・例文・類語

せいふかんしょう‐けんこうほけん〔セイフクワンシヤウケンカウホケン〕【政府管掌健康保険】

政府運営健康保険自社健康保険組合をもたない中小企業従業員対象実際の運営は社会保険庁が担当した。社会保険庁改革により、平成20年(2008)10月から、運営は新たに設立された全国健康保険協会に引き継がれ全国健康保険協会管掌健康保険協会けんぽ)に移行した。政管健保。→組合管掌健康保険

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改訂新版 世界大百科事典 「政府管掌健康保険」の意味・わかりやすい解説

政府管掌健康保険 (せいふかんしょうけんこうほけん)

常時5人以上の雇用労働者を使用する事業所に使用される雇用労働者は,強制的に健康保険の被保険者とされる。健康保険の保険者には,政府と健康保険組合があるが,前者によって運営される健康保険を政府管掌健康保険(政管健保),後者によるものを組合管掌健康保険(組合健保)と呼んでいる。政管健保は,健康保険組合の設立されていない事業所(設立基準等については〈組合管掌健康保険〉の項参照)に使用される雇用労働者および日雇労働者を被保険者として運営されている。日雇労働者については1953年日雇労働者健康保険が発足したが,累積赤字のため84年に廃止された。政管健保,組合健保も基本的には同一基準で運営されているが,以下の2点において相違がある。(1)保険料率 政管健保,組合健保ともに保険料算出の基礎となる標準報酬等級表は同じである。しかし,組合健保が30/1000から95/1000の範囲内で組合独自に料率を決定できるのに対して,政管健保は85/1000(1997年9月現在,最高限度は91/1000)と全適用事業所が一律に規定されている。保険料は労使折半負担だが,組合健保の場合は組合規約により事業主の負担割合を多くすることができる。(2)附加給付 政管健保の給付は健康保険法に定める給付(法定給付)だけであるが(保健・福祉施設等は設置されている),組合健保においては各組合の財政状況に応じていわゆる附加給付を行うことができる。

 政管健保の適用事業所は149万2000ヵ所,被保険者2018万人,平均標準報酬月額29万1320円となっている(いずれも1996年10月末)。従来,政管健保は米,国鉄とともに3K赤字の一つとなっていたが,1980年代に収支が好転し黒字基調で推移した。しかし,90年代になり,バブル経済の崩壊,医療費の急増により再び財政が悪化した。このため,抜本的な改革が必要となっている。
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知恵蔵 「政府管掌健康保険」の解説

政府管掌健康保険

中小企業のサラリーマンが加入する医療保険。1927年に工場労働者を対象にした健康保険法が施行された際、保険者は組合が原則だったが、政府も運営主体となった。約150万事業所に、約3600万人が加入している。給付の13%が国庫負担。保険料率はボーナスも含めた総報酬制で8.2%。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の政府管掌健康保険の言及

【医療保険】より

…公務員関係は共済組合であるが,これも年金制度と医療保険をあわせた制度となっている。 まず,民間企業の被用者は健康保険(健康保険法にもとづく医療保険,つまり組合管掌健康保険および政府管掌健康保険をいう。ただし,健康保険という語は医療保険の総称として使われることもある)に加入するが,常時700人以上の被保険者を有する事業所では,それぞれに健康保険組合をつくり独自に運営できる。…

※「政府管掌健康保険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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