政治の対立軸(読み)せいじのたいりつじく

知恵蔵 「政治の対立軸」の解説

政治の対立軸

二大政党制への動きの中で論議されてきたのが政治の対立軸である。冷戦下では日米安保条約是か非か、米国との同盟か非武装中立か、などが論点だったが、冷戦の終焉によって安全保障上の対立は薄れた。憲法という対立軸は残っているが、共産、社民両党などの護憲勢力が弱まり、野党第一党の民主党が「論憲」を打ち出したことなどから、改憲か護憲かという構図が崩れてきている。与野党の対立軸としてクローズアップされてきたのが、景気対策か構造改革かという問題だ。2000年6月の総選挙では自民、公明、保守の与党3党が景気回復を確実にするため、公共事業などによる財政出動は必要と訴えたのに対して、民主党は公共事業を大幅に見直し、構造改革を進めるべきだと主張した。社会保障や規制緩和をめぐっても、政府の関与を残すべきだという主張と、できる限り市場に委ねるべきだという立場がある。03年の有事法制と04年の有事関連法成立をめぐっては、与党に加えて民主党が賛成するなど、安保・防衛問題での与野党対立は弱くなっている。さらに小泉政権の末期から新政権発足の中では、民主党の小沢一郎代表が競争原理の行き過ぎや格差拡大などを批判。自民、民主両党の対立軸は、小泉自民党流の「小さな政府」か、民主党がめざす「セーフティーネット重視」か、という方向になりつつある。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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