教育刑論(読み)きょういくけいろん

精選版 日本国語大辞典 「教育刑論」の意味・読み・例文・類語

きょういくけい‐ろん ケウイク‥【教育刑論】

〘名〙 刑法理論一つ刑罰は、犯罪人を改善し、社会に復帰させるための教育であるとする学説目的刑論。⇔応報刑論

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

百科事典マイペディア 「教育刑論」の意味・わかりやすい解説

教育刑論【きょういくけいろん】

刑罰の目的を犯人社会復帰のための教育であるとする説。応報刑論に対する目的刑論の一つ。新派刑法学主張。目的刑論は刑罰の本質即刑罰の目的という立場から,刑罰を他の目的・手段とする点で相対主義。教育刑論は,刑罰の目的については,特別予防説をとり,刑罰を科することによって,犯人の悪い性格を改善教育し,再び犯罪を行わないようにする点に求める。この教育目的を達成するために,受刑者個性に応ずること(刑罰個別化原則)と不定期刑が要請される。→牧野英一フェッリリスト

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の教育刑論の言及

【刑罰】より

…大別すれば,応報刑論と目的刑論がある。応報刑論と教育刑論が対立するとよくいわれるが,教育刑論は目的刑論の一種である。 応報刑論は,刑罰は犯罪を行ったことに対する報いとして加えられることに意味があるとする。…

【刑法理論】より

…そして,(4)犯罪の成立について行為者の反社会的性格・動機などの主観的側面を重視し(主観主義,性格責任論),(5)そのような反社会的性格による社会的危険性をもつ者は,社会が自己を防衛するためにとる一定の措置を甘受しなければならない負担を負うとした(社会的責任論)。そして,(6)刑罰は行為者の反社会的性格を改善・教育するための手段であって(改善刑論,教育刑論),(7)行為者の再犯の予防を目的とするものであり(特別予防論),(8)このようにして社会を犯罪から防衛するのである(社会防衛論)と主張した。 この新派の主張する行為者主義,主観主義,性格責任論は,不明確な主観的要素によって刑法の適用を左右する可能性をもち,個人の自由,人権の保障にとって危険を含むものであった。…

※「教育刑論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android