文・書(読み)ふみ

精選版 日本国語大辞典 「文・書」の意味・読み・例文・類語

ふみ【文・書】

[1] 〘名〙
① 文書・書物など、文字で書きしるしたもの。かきもの。
(イ) 漢文典籍経典の類をいう。
書紀(720)推古一〇年一〇月(岩崎本訓)「是の時に書生(フミまなふるひと)三四人を選びて観勒に学び習は俾む」
(ロ) 一般に、文書・記録・日記などの類をいう。
※書紀(720)皇極四年六月(図書寮本訓)「倉山田麻呂臣進みて三の韓(からひと)表文(フミ)を読み唱ぐ」
(ハ) 漢詩または漢詩文をいう。
※書紀(720)継体七年九月(前田本訓)「是に月の夜に清談(ものかたり)して不覚(おろか)に天暁(あ)けぬ。斐然(フミつくる)(〈別訓〉うたつくる)藻(みやひ)、忽に言に形る」
※高倉院厳島御幸記(1180)「今日はいかで旅の泊とても、春を惜しまざらんとて、人々ふみ作る」
② 学問。特に中国の文学・漢学をいう。→ふみの道
源氏(1001‐14頃)浮舟「御ふみのことにつけてつかひ給ふ大内記なる人の」
絵図(えず)。また、文字。八卦の図のようなものをいうか。河図洛書(かとらくしょ)のたぐいか。
※続日本紀‐天平元年(729)八月五日・宣命「図(ふみ)負へる亀一頭献らくと奏し賜ふ」
手紙書簡書状。近世以後、特に恋文(こいぶみ)をいう場合が多い。艷書(えんしょ)
伊勢物語(10C前)九「京にその人の御もとにとてふみかきてつく」
⑤ 能小道具の一種大奉書白紙のままで折りたたんで書状としたもの。また、シテ、まれにワキまたはツレが手紙を読むことをいう。
⑥ 紋所の名。結び文図案化したもの。開き文、結び文などがある。
⑦ 「ふみ(書)のつかさ」の略。
※雑俳・柳多留‐一二八(1833)「源空は起請お弟子は文を書き」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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