文七元結(読み)ブンシチモトユイ

デジタル大辞泉 「文七元結」の意味・読み・例文・類語

ぶんしちもとゆい【文七元結】[作品名]

人情ばなし三遊亭円朝作。侠気おとこぎのある左官長兵衛が、自分の娘を売った金で文七という身投げ男を救う。それが縁で娘は身請けされ、文七と夫婦になり、文七元結を売り出す。歌舞伎にも脚色。ぶんしちもっとい。

ぶんしち‐もとゆい〔‐もとゆひ〕【文七元結】

文七1で作った上等な元結。ぶんしちもっとい。
[補説]作品名別項。→文七元結

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精選版 日本国語大辞典 「文七元結」の意味・読み・例文・類語

ぶんしち‐もとゆい ‥もとゆひ【文七元結】

[1] 〘名〙 元結の上等なもの。文七①でつくる。ぶんしちもっとい。〔随筆・本朝世事談綺(1733)〕
[2] 人情話。三遊亭円朝作。明治二二年(一八八九発表侠気(おとこぎ)のある左官の長兵衛が娘を売った金で、身投げをしようとした男文七を救い、そのため女房けんかになったが、様子が知れて文七は娘と祝言し、文七元結を売り出す話。歌舞伎にも「人情話文七元結」として脚色された。ぶんしちもっとい。

ぶんしち‐もっとい ‥もっとひ【文七元結】

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文七元結」の意味・わかりやすい解説

文七元結
ぶんしちもっとい

落語。以前からあった噺(はなし)に三遊亭円朝(えんちょう)が手を入れて完成した人情噺。左官長兵衛は腕はよいが博打(ばくち)に凝り、家のなかは火の車であった。孝行娘のお久が吉原の佐野槌(さのづち)へ行き、身売りして親を救いたいという。佐野槌では感心して長兵衛を呼び、いろいろ意見をしてお久を担保に50両貸す。改心した長兵衛が帰りに吾妻(あづま)橋までくると、若い男が身投げしようとしているので事情を聞くと、この男はべっこう問屋の奉公人で文七といい、50両を集金の帰りになくしたという。長兵衛は同情して借りてきた50両を文七にやってしまう。長兵衛が家へ帰ると女房と大げんかになる。そこへ文七とべっこう問屋の主人がきて、金は得意先に忘れてあったと粗忽(そこつ)をわびて50両を返し、お久を身請けしたことを告げる。のち文七とお久は夫婦となり、麹町(こうじまち)貝坂で元結屋を開いたという。6代目三遊亭円生(えんしょう)、8代目林家正蔵(はやしやしょうぞう)(彦六(ひころく))が得意とした。1902年(明治35)に歌舞伎(かぶき)座で5世尾上(おのえ)菊五郎らによって初演されたのをはじめ、映画化などもされてよく知られた。

[関山和夫]

『『三遊亭円朝全集 4』(1975・角川書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「文七元結」の意味・わかりやすい解説

文七元結 (ぶんしちもっとい)

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「文七元結」の解説

文七元結
(通称)
ぶんしちもっとい

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
人情噺文七元結
初演
明治35.10(東京・歌舞伎座)

文七元結
ぶんしちもっとい

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
勝歌女助
初演
明治24.2(大阪・中芝居)

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デジタル大辞泉プラス 「文七元結」の解説

文七元結(ぶんしちもっとい)

古典落語の演目のひとつ。人情ばなし。

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世界大百科事典(旧版)内の文七元結の言及

【元結】より

…また,《枕草子》に〈元結よる〉とあるのは実用の撚り元結のことであり,《紫式部日記》に〈釵子さして白き元結したり,頭つきはえてをかしく見ゆ〉とあるのは平元結(ひらもとゆい)と考えられ,装飾を兼ねていたことがわかる。近世の元結は文七元結(ぶんしちもつとい)の名に始まる撚り元結の既製品が出はじめ,全国的に一般化する。名の起りは,文七という元結職人の名とする説と,職人全体を文七と俗称していたと考える説がある。…

※「文七元結」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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