文化記号論(読み)ぶんかきごうろん

世界大百科事典(旧版)内の文化記号論の言及

【記号】より

…こうした状況ゆえに記号の本質についての検討が現代の社会と文化の批判のための根本的方法として要請されるのである。文化記号論semiotic(s) of cultureは既成の諸学問の枠を越えて人間と文化の生態を解明し,人間の生活を成り立たせている経済活動(生産・消費・交換など)とその諸理論の批判を可能にするのである。
[現代文化記号論の発展]
 人間と文化を記号として解明しようとする現代文化記号論の理論モデルは構造言語学である。…

【詩学】より

…人間の意識は法,言語が支配する〈象徴界〉と無意識的な〈記号界〉からなるが,詩的言語のリズムは表層言語を解体することにより主体を象徴界から記号界に導き,あるいは記号界を象徴界に流入させ,こうして主体を文化の法や言語から解放するという。 ロシア・フォルマリズムの発祥地ソ連ではスターリンの死後,構造言語学が発足し,ついでモスクワ・タルトゥ学派を中心に文化記号論が発足した。この文化記号論の核として構造詩学を展開したのはYu.M.ロートマンで(《構造詩学講義》《芸術テキストの構造》ほか),彼は構造言語学,情報理論,情報美学,一般記号論の諸概念によるロシア・フォルマリズムとバフチンの諸成果の読み直しを行った。…

【ソシュール】より

…したがって,言語記号は自らに外在する指向対象の標識ではなく,それ自体が〈記号表現〉(シニフィアンsignifiant)であると同時に〈記号内容〉(シニフィエsignifié)であり,この二つは互いの存在を前提としてのみ存在し,〈記号〉(シーニュsigne)の分節とともに産出される(なお,かならずしも適切な訳語とはいえないが,日本における翻訳紹介の歴史的事情もあって,signifiantには〈能記〉,signifiéには〈所記〉の訳語がときに用いられる)。これはギリシア以来の西欧形而上学を支配していたロゴス中心主義への根底的批判であり,この考え方が次に見る文化記号学,文化記号論の基盤になったと言えよう。言語学
[記号学]
 これは社会生活において用いられるいっさいの記号を対象とする学問で,非言語的なシンボルもそれが文化的・社会的意味を担う限りにおいて一つのランガージュとしてとらえられる。…

※「文化記号論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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