文政の改革(読み)ぶんせいのかいかく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「文政の改革」の意味・わかりやすい解説

文政の改革
ぶんせいのかいかく

1827年(文政10)から29年にかけて、関東農村の支配強化を目ざして実施された改革である。すでに幕府は1805年(文化2)に関東取締出役(とりしまりしゅつやく)制度をつくったが、さらにこの制度を徹底させるために行われたのが文政の改革である。改革の中心は、勘定奉行(かんじょうぶぎょう)より示達された40か条からなる「御取締御改革」の触書と大小組合村結成である。触書では、〔1〕無宿・悪党の取締り、〔2〕博奕(ばくち)・風俗・冠婚葬祭・娯楽などの奢侈(しゃし)取締り、〔3〕強訴徒党の禁止、〔4〕農間商人・職人の増加の抑制、などを命じたものである。このような示達を実効あるものとするために結成されたのが組合村である。この組合村は、近隣数か村で小組合村をつくり、さらに小組合村を10前後まとめて大組合村とし、その中心的な村を寄場村(よせばむら)とした。名主のなかから有力な者を組合村役人に任命し、取締り支配の組織に編入した。この組合村は明治維新まで存続した。

[森 安彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社日本史事典 三訂版 「文政の改革」の解説

文政の改革
ぶんせいのかいかく

江戸後期の1827(文政10)年,幕府が関東農村の治安維持を強化した改革
関東全域の農村40〜50か村ずつで組合村を結成,寄場惣代 (よせばそうだい) を置き,関東取締出役に直属させ,これを強化した。関東は天領旗本領大名領寺社領が入りまじり,取締りの不備に乗じ博徒・無宿者らが横行したため,これらの取締りとともに江戸周辺農村の一揆防止が目的であった。

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