文殊会(読み)もんじゅえ

精選版 日本国語大辞典 「文殊会」の意味・読み・例文・類語

もんじゅ‐え ‥ヱ【文殊会】

〘名〙 仏語。毎年七月八日に諸国寺院文殊菩薩本尊として営んだ法会。文殊師利般涅槃経の趣旨によって勤操(ごんそう)が貧窮などの救済のために行なったのに始まるといい、天長五年(八二八官命によって制度化されたもの。この時、前後三日にわたって殺生を禁じ、参集した男女に文殊菩薩の名号を一〇〇回唱えさせ、三帰五戒を授け、貧者に施しを行なった。後に京都の東寺・西寺のものが著名となった。文殊講。《季・秋》
三代格‐二・天長五年(828)二月二五日「応文殊会事」 〔俳諧・誹諧初学抄(1641)〕

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デジタル大辞泉 「文殊会」の意味・読み・例文・類語

もんじゅ‐え〔‐ヱ〕【文殊会】

文殊菩薩を供養する法会。毎年7月8日に諸国の寺院で行われたが、のち京都の東寺西寺のものが有名になった。 夏》

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世界大百科事典(旧版)内の文殊会の言及

【法会】より

…《三宝絵詞》には奈良,京都の寺々の代表的な法会が収められ,10世紀ころの仏事の盛行がうかがわれる。釈迦の慈悲の実現を具現化した窮民救済の文殊会や,生類の解放を示した放生会も,その法要の形式は失われたが,仏教界では今日に伝わっている。【堀池 春峰】。…

【文殊】より

…密教修法の文殊八字法を初めて伝えたのも円仁で,12世紀に入ると文殊八字法は台密・東密を問わず息災法や安鎮法(鎮宅法)として重んじられるようになった。9世紀以後の文殊信仰のもう一つの大きな流れは,文殊会の発達である。文殊会とは,文殊が貧窮孤独の衆生に身を変えて,文殊を礼拝供養する行者の前に現れるとの《文殊般若経》の所説により,貧病者に布施する法会で,828年(天長5)太政官は諸国に対し毎年7月公費をもって行うよう命じた。…

※「文殊会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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