文金風(読み)ブンキンフウ

デジタル大辞泉 「文金風」の意味・読み・例文・類語

ぶんきん‐ふう【文金風】

江戸中期の男子髪形の一。まげの根を元結で高く巻き上げ、毛先月代さかやきのやや前方に出したもの。豊後節の祖、宮古路豊後掾みやこじぶんごのじょうが始めたという。通人に好まれた。宮古路風。

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精選版 日本国語大辞典 「文金風」の意味・読み・例文・類語

ぶんきん‐ふう【文金風】

〘名〙 江戸時代の男子の結髪一つ。髻(もとどり)の根を高くして元結(もとゆい)を多く巻き、長く突き出して、先を下に伏せた形。元文元年(一七三六)、豊後節の創始者宮古路豊後掾が始めたもの。また、これに類した根の高い島田。宮古路風。文金
洒落本・風俗八色談(1756)二「髪は巻鬢の串曲(くしまげ)とやら文金(ブンキン)風とやら」

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百科事典マイペディア 「文金風」の意味・わかりやすい解説

文金風【ぶんきんふう】

江戸時代の男性の髪形の一種男髷(まげ)の根を元結で高く巻き上げた辰松(たつまつ)風という髪形を少し変えたもの。宮古路豊後掾(ぶんごのじょう)によって考案され,元文1年鋳造の文字金(略して文金)にちなんで文金風と呼ばれた。女性の島田髷にも文金島田として応用された。現在も花嫁文金高島田に残っている。
→関連項目髪形本多髷

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世界大百科事典(旧版)内の文金風の言及

【歌舞伎】より

…歌舞伎風俗の一般への影響は,服飾上のあらゆる分野に及んだ。 髪形についてみると,男性の髪形として〈伝九郎糸鬢(いとびん)〉〈辰松風〉〈文金風(浄瑠璃語り宮古路豊後掾の風)〉〈路考鬢〉〈仲蔵鬢〉など,女性の髪形では〈路考髷(まげ)〉〈大吉髷〉などが有名。〈古今帽子〉〈沢之丞帽子〉〈やでん帽子〉〈水木帽子〉〈あやめ帽子〉〈瀬川帽子〉など,女方役者が考案した女性の被り物も流行した。…

【髪形】より

…髻を二つに折るいわゆる〈二つ折れ〉の形式には,おもな髻に茶筅(ちやせん)髻,銀杏(いちよう)髻,本多(ほんだ)髻などの系統が生まれ,女性の髪形の場合と同様に,武士,町人の区別はもとより,職業によっても各人の髪形に変化がみられた。江戸中期以後は,これらの髻形を基本として,辰松(たつまつ)風,文金風,本多風という三つの流れをもつ髻形へと移行した。辰松風とは,享保年間(1716‐36)辰松八郎兵衛という人形遣いの名人の結った髻で,髻の刷毛先が短く,先端が急こう配に折れ曲がっていて,根を高く巻きあげその芯に針をさして固定したともいう。…

※「文金風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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