斉(中国、戦国時代の国)(読み)せい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

斉(中国、戦国時代の国)
せい

中国、戦国時代の国。春秋時代までの斉国を姜(きょう)斉ともよぶのに対し、紀元前379年田敬仲(でんけいちゅう)が公位について以後、代々田氏一族が公(王)位につくようになった戦国時代の斉国を田斉(でんせい)とよんで区別する。前4世紀中期、田斉4代目の威(い)王から王を称するようになり、現在の山東省全域を支配する強国に成長し、戦国七雄の一つに数えられる。その子宣(せん)王の時代に勢力は絶頂に達し、学問のうえでも全国の諸家の学者を臨淄(りんし)の稷門(しょくもん)の下の学館に集めて政治論議をさせ、いわゆる「稷下の学」をおこした。次の湣(びん)王の時代には宋(そう)、中山(ちゅうざん)などを滅ぼして勢力を維持したが、前284年に、北方の燕(えん)が将軍楽毅(がくき)統率のもとで他の4国(秦(しん)・魏(ぎ)・韓(かん)・趙(ちょう))と結んで斉を大敗させて一時臨淄をも占領した。以後、勢力は下り坂となり、西方の秦、北方の趙に圧迫され続け、前221年、秦の東伐軍に滅ぼされた。

[太田幸男]

『司馬遷著、小川環樹他訳『史記世家』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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