断酒薬(読み)ダンシュヤク

デジタル大辞泉 「断酒薬」の意味・読み・例文・類語

だんしゅ‐やく【断酒薬】

抗酒剤

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「断酒薬」の意味・わかりやすい解説

断酒薬 (だんしゅやく)

酒を嫌いにさせる薬で,嫌酒薬ともいう。この薬をあらかじめ投与しておくと,アルコールに対する反応が異常になって不快な症状に苦しむため,アルコール依存症患者が酒をやめたいと望む気持ちを強化してくれる。ジスルフィラムdisulfiram(商品名アンタブース)がある。デンマーク医師がジスルフィラムの駆虫薬としての効果を研究中,それを内服してカクテルパーティに出席し,アルコールで激しい中毒症状を呈したことから断酒薬としての作用が発見されたという。ジスルフィラム自体は比較的毒性が低く,副作用も少ないが,それを内服後にアルコール飲料を飲むと,顔面紅潮,頭痛発汗吐き気,目まい,呼吸困難,血圧低下,胸部圧迫感,錯乱などの症状が現れる。アルコールは元来肝臓でアルコールデヒドロゲナーゼによってアセトアルデヒドになり,これは直ちにアルデヒドデヒドロゲナーゼによりさらに酸化されてしまうのであるが,ジスルフィラムがアルデヒドデヒドロゲナーゼの活性を阻害するため,アセトアルデヒドの代謝分解が進行せず,血中のアセトアルデヒド濃度が上昇して上述のような症状を呈することになる。症状の苦しさを経験した患者は,以後ジスルフィラムの投与を受けている間はアルコールを飲めなくなる。ジスルフィラムの投与は危険を伴うので,医師によってのみなされる。
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世界大百科事典(旧版)内の断酒薬の言及

【アルコール中毒】より

…ただし,本人が治療意欲をもたないと外来治療は成功しない。外来治療の場合は,嫌酒療法として断酒薬(アンタブース,シアナマイドなど)が用いられ,同時に精神療法が試みられる。入院治療の場合,アルコール病棟といって,アルコール依存者専門の病棟が利用される傾向が強くなっている。…

※「断酒薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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