新刀(読み)しんとう

精選版 日本国語大辞典 「新刀」の意味・読み・例文・類語

しん‐とう ‥タウ【新刀】

〘名〙
① 新しく鉄をきたえて作りあげた刀。あらみ。
近世慶長年間(一五九六‐一六一五以後に製作された刀の総称。⇔古刀
※落語・神仏論(1898)〈三代目春風亭小柳枝〉「其新刀と古刀の鑑定(めきき)の出来る、石町新道に骨董道具の商売をして居りまするが」

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デジタル大辞泉 「新刀」の意味・読み・例文・類語

しん‐とう〔‐タウ〕【新刀】

新しく鍛えて作った刀剣。あらみ。
江戸時代、慶長年間(1596~1615)以降に作られた刀剣。→古刀新新刀

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新刀」の意味・わかりやすい解説

新刀
しんとう

安土桃山時代の慶長以後の刀工の作刀をいう。豊臣秀吉が天下を統一して諸国に新興城下町が発達し,そこに古刀時代の諸国の刀工群が分散して集った結果,各流派の伝統がくずれて新しく自由な鍛練法が生れ,桃山時代の華麗な時風を反映した新様式の刀剣が出現した。すなわち室町時代に栄えた備前美濃などの刀工は京都,大坂,江戸をはじめとして仙台,福井,佐賀,薩摩などの城下町に移り,その作風は鎌倉時代の京都,大和,備前の風を復古しているものもあるが,相州の正宗,美濃の志津,越中の郷らに範をとっているものが多く,それが単なる模倣でなく,個性を発揮しているところに新刀の特色がある。なお新刀は身のそりが浅く,地鉄が精緻で,刃文は大模様で華美なものが多い。著名な刀工に京都の埋忠明寿,信濃守国広,大坂の和泉守国貞,井上真改,津田助広,江戸の野田繁慶,越前康継,長曾禰虎徹,佐賀の肥前国忠吉らがおり,いずれも一派の祖と仰がれた名工。文化文政頃江戸に水心子正秀が出て復古刀を提唱し,門下に参じるもの多く,以後の刀工の作刀を「新新刀」と称している。なかでも四谷に住した源清麿は四谷正宗と称せられた名工である。 (→ )  

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百科事典マイペディア 「新刀」の意味・わかりやすい解説

新刀【しんとう】

刀剣史上,慶長(けいちょう)(1596年―1615年)以後,すなわち17世紀以後に作られた刀剣をいう。古刀と異なる点は,刀工が新興の城下町に集まって作刀したこと,素材の鉄が自由に求められ,地金そのものに地方的特色がなくなったこと,鍛錬法が相違することなどである。また,化政期以後のものを特に新々刀あるいは復古刀と呼ぶ。
→関連項目刀鍛冶日本刀

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世界大百科事典(旧版)内の新刀の言及

【埋忠明寿】より

…刀剣においては刀身に玉追竜や不動明王などの図様を彫り,前時代にはない新生面をみせる。また門下に肥前忠吉,安芸輝広らの逸材を出して,新刀(桃山時代以降の刀)の祖といわれている。短刀に傑作が多い。…

【日本刀】より

…この時代の刀工たちも新興武士の好みに応じた〈力〉を感じさせる作品を作るようになり,鎌倉時代につぐ盛況を呈した。これ以後,すなわち17世紀以降のものを〈新刀〉といい,それ以前のものはすべて〈古刀〉と呼んで区別することになっている。また刀工は京都や大坂などの大都市や,江戸,名古屋,仙台,金沢,会津,広島,福岡,佐賀などの大城下町に群居するようになった。…

【山城物】より

… 江戸時代に入ると山城鍛冶も再び活況を呈し,西陣に埋忠明寿(うめただみようじゆ)が出た。埋忠家は元来,刀の磨上げ,拵(こしらえ)・金具の製作を家業としていたが,明寿は作刀にも長じ,それまでの古刀期にはなかった濃厚な彫物を施した装飾豊かな作風を展開し,新刀の祖といわれている。これとは別に,地方からの移住者も多く,一条堀川には日向出身の国広が,西洞院には美濃出身の伊賀守金道,丹波守吉道,越中守正俊兄弟ら三品派がいて,それぞれ一派を開いた。…

※「新刀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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