新編武蔵国風土記稿(読み)しんぺんむさしのくにふどきこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新編武蔵国風土記稿」の意味・わかりやすい解説

新編武蔵国風土記稿
しんぺんむさしのくにふどきこう

江戸幕府編纂(へんさん)の武蔵国の地誌。新編風土記編纂の資料とする目的で編まれたためにこの書名となった。大学頭(だいがくのかみ)林述斎総裁として間宮庄五郎士信(ことのぶ)ほか41名が編纂に従った。1810年(文化7)に稿をおこし、28年(文政11)に成稿。1830年(天保1)に浄書を幕府に上呈した。首巻のほかに武蔵国総国の図説、沿革、国造(くにのみやつこ)・国司の任国表、山川芸文を載せた8巻、郡志、町村誌を郡別に叙述した257巻、編纂者名を記した付録1巻の全267巻よりなる。図・絵として巻首に武蔵国全図、各郡の初めに正保(しょうほう)・元禄(げんろく)の地図と、要所挿絵がある。長期間にわたる編纂であったことと、編纂者が多数であったことによって記載項目にやや統一を欠くが、化政(かせい)期(1804~30)における江戸を除く武蔵国全町村を網羅した地誌として利用価値が高い。『大日本地誌大系』所収。

[伊藤好一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新編武蔵国風土記稿」の意味・わかりやすい解説

新編武蔵国風土記稿
しんぺんむさしのくにふどきこう

江戸幕府が編纂した武蔵国 (東京都,埼玉県,神奈川県) の地誌。 265巻。大学頭林述斎 (衡) の建議により,幕府の学問所昌平黌 (しょうへいこう) において文化7 (1810) 年から着手し,天保1 (30) 年幕府に提出された。図説,建置沿革,任国沿革表,山川,芸文,本編などから成る。この編纂のため,幕府は古文書探訪,その成果が『武州文書』として現存する。古文書,古器,書画,金石文にいたるまで収録し,体裁よりも記事の詳細さに主眼をおく。これに次いで『新編相模国風土記稿』が成立。『大日本地誌大系』所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「新編武蔵国風土記稿」の解説

新編武蔵国風土記稿
しんぺんむさしのくにふどきこう

江戸後期,武蔵国に関する詳細な地誌
1810〜28年,林述斎が昌平坂学問所地理局を置いて編纂。265巻。前後18年間40数人によってなり,1830年幕府に献上相模国に関する『新編相模国風土記稿』とともに,地理・歴史の研究資料として価値が高い。

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