新羅帳籍(読み)しらぎちょうせき

改訂新版 世界大百科事典 「新羅帳籍」の意味・わかりやすい解説

新羅帳籍 (しらぎちょうせき)

朝鮮,統一新羅時代の村落概況を記録した文書で,1933年に日本の正倉院で発見された。〈新羅村落文書〉などともいう。755年もしくは815年の作成と思われる。3年に1度作成された調査記録の断片であり,現在の忠清北道清州付近に存在したと思われる4ヵ村の現状を記録している。記載内容は村名,村域,戸口数,牛馬数,耕地面積,桑などの樹木数であり,耕地面積を除いて過去3年間の増減も詳細に記載されている。これによって,当時の村落が10戸前後,人口総数100名前後の小さな自然村落であったことがわかる。新羅はこうした自然村落を単位に国家的収取を行っていた。本帳籍作成の目的もそこにあったと思われるが,帳籍の性格そのものについては諸説がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の新羅帳籍の言及

【村】より


[むらの歴史]
 本来のむらは生活と生産の場であるだけでなく,とくに近代以前にあっては血縁・地縁共同体の性格を色濃くもっていた。具体的にさかのぼりうる最古のむらとして,正倉院に偶然文書(新羅帳籍)が残った8~9世紀ころの忠清道の4ヵ村の例では,各むらは100人程度の人々が住み,周囲8000歩程度の独自のテリトリーをもっており,水田や畑だけでなく,麻,桑,クルミ,松などの樹木が栽培されていた。周辺にはどこのむらにも属さない土地が広がっており,それがむらの中に取り込まれるのは高麗時代以後のことである。…

※「新羅帳籍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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