新造形主義(読み)シンゾウケイシュギ(英語表記)Neo-Plasticism

デジタル大辞泉 「新造形主義」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぞうけいしゅぎ〔‐ザウケイシユギ〕【新造形主義】

《〈フランスnéo-plasticisme1917年オランダの画家モンドリアン中心として興った芸術運動。線と色彩のみによる幾何学的抽象をめざし、建築彫刻などにも大きな影響を与えた。

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精選版 日本国語大辞典 「新造形主義」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぞうけいしゅぎ ‥ザウケイシュギ【新造形主義】

〘名〙 モンドリアンらによって第一次世界大戦後のオランダでおこされた美術運動。絵画、彫刻、デザイン、建築などに、色彩と線による純粋抽象的な造形をみせた。ネオ‐プラスティシスム。

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百科事典マイペディア 「新造形主義」の意味・わかりやすい解説

新造形主義【しんぞうけいしゅぎ】

オランダの画家モンドリアンによる幾何学的抽象主義の絵画理論英語ではNeoplasticism。個人的感情を排し,最も基本的で純粋な造形要素の組合せによって普遍的で純粋な美に達しようとする。これに共鳴したファン・ドゥースブルフベルギーの画家ファントンヘルローらと機関誌デ・ステイル》を刊行,建築・デザインの分野にも大きな影響を与えた。
→関連項目構成主義抽象芸術

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新造形主義」の意味・わかりやすい解説

新造形主義
しんぞうけいしゅぎ
Néo-plasticisme

ネオプラスティシスム。 1917年オランダに起った,P.モンドリアンの理論と作品に明確に表現されている幾何学的純粋抽象絵画美学とその運動。モンドリアンと T.ドースブルフらが主唱し,彼らが刊行した機関誌『デ・ステイル』が運動の中心となる。その作品は水平垂直線直角によって構成され,赤,青,黄の三原色と白,黒,灰色の無彩色のみが用いられる。その理論はモンドリアンの『新造形主義』 Néo-plasticisme (1920) と題するエッセー集において展開されている。この運動は絵画,彫刻に限らず,建築,室内装飾,グラフィック・テザインなど広く造形芸術の分野に強い影響を及ぼした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新造形主義」の意味・わかりやすい解説

新造形主義
しんぞうけいしゅぎ
Neo-Plasticism

オランダの画家モンドリアンが1912~17年にキュビスムの徹底的な追求によって到達した造形理論。いっさいの再現的、偶然的、恣意(しい)的な要素を絵画から追放し、水平、垂直の2線分と、三原色および無彩色の配合によって生命力の根源を暗示する秩序と均衡ある構成を生もうとするものである。その理論の背景には神智(しんち)学および新プラトン主義的思考があるとされる。1917年モンドリアンはこの理論をもとにドースブルフらと「デ・ステイル」の運動を推進した。その単純明快な構成原理は、抽象絵画のみならず建築、デザインなどの分野にも大きな影響を与えた。20年彼はパリで『新造形主義』と題する冊子を出版した。

[野村太郎]

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世界大百科事典(旧版)内の新造形主義の言及

【デ・ステイル】より

…20世紀初めオランダに興った抽象美術運動。ファン・ドゥースブルフモンドリアンの絵画と造形思想に共鳴し,彼とともに〈新造形主義Neoplasticisme〉を成立させ,この思想を広めるために雑誌の発行(1917‐28)を中心とした新しい造形運動をライデンで起こした。〈デ・ステイル〉(オランダ語で〈様式〉)はこの雑誌の題で,やがて運動の名称ともなった。…

【ファン・ドゥースブルフ】より

…俳優から画家に転じ,さらに文学,音楽,建築に多彩な才能を示す。〈新造形主義〉の絵画作品のほか,建築ではローゼンベルク邸案,ベルリンのウンター・デン・リンデン街改造計画(ともに1923)などを建築家ファン・エーステレンCornelis van Eesterenと発表,また機関誌《デ・ステイル》にはボンセットの筆名でダダ詩を,カミーニの名で評論を載せる。1925年〈要素主義〉を唱え(その実例がレストラン〈オーベット〉の改装(1926,ストラスブール。…

【モンドリアン】より

…ロンドンを経て,40年にニューヨークへ渡り,この線分にリズム感を付け加えた《ブロードウェー・ブギウギ》(1943)のような晩年の代表作を残した。彼の造形思想〈新造形主義Neoplasticisme〉は20年代以降《デ・ステイル》誌や著書《新しい造型》(1925)などを通じて,絵画はもちろん,現代の建築やデザインの世界にも大きな影響を与えた。抽象芸術【宮島 久雄】。…

※「新造形主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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