新銀行東京(読み)しんぎんこうとうきょう

知恵蔵 「新銀行東京」の解説

新銀行東京

株式会社新銀行東京は、東京都新宿区に本店を置く銀行。石原慎太郎が2期目の東京都知事選挙の公約にした「東京発金融改革」の目玉で、資金調達に悩む中小企業の救済理念として2004年4月に設立された。
中小企業に対する無担保融資などを掲げ、金融機関の貸し渋りに苦しむ中小企業を支援するとして、東京都が1000億円を出資し開業したが、この際に当時売却を検討していたフランスの銀行の日本法人を都知事の即断のような形で買収したことや、全株式の8割以上を都が保有していることなどから「石原銀行」との異名をとる。設立の趣旨に基づき無担保・無保証の融資を売り物にしたが、審査の甘さや野放図な融資により膨大な不良債権を抱えることになり、08年3月期決算では累積赤字が1000億円を超えるまでになった。都議会では「私(石原)だったら、銀行をもっと大きくできた」との答弁がなされ、破綻(はたん)による大きな損失を避けるとして経営再建を進めることになった。そのため、08年4月には東京都が400億円の追加出資を行ったが、都民の反対も根強い。
その後、08年12月には融資詐欺事件の摘発やずさんな融資管理について金融庁から業務改善命令が出されるなど再建は隘路に立たされている。なお、09年3月の都議会では融資の焦げ付きによる損失を都が補助するなどの条例案と予算案が審議され、新銀行東京もこの取り扱いが可能であるため、乱脈融資へのさらなる追い貸しや新銀行への新たな税金投入の布石となるのではと危惧されている。

(金谷俊秀 ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本の企業がわかる事典2014-2015 「新銀行東京」の解説

新銀行東京

正式社名「株式会社新銀行東京」。英文社名「ShinGinko Tokyo, Limited」。銀行業。平成16年(2004)設立。本店は東京都新宿区西新宿。東京都主導でBNBバリバ信託銀行を公有化して発足した銀行。中小企業向け融資に注力

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android