日・陽(読み)ひ

精選版 日本国語大辞典 「日・陽」の意味・読み・例文・類語

ひ【日・陽】

[1] 〘名〙
① 太陽。日輪
※古事記(712)上・歌謡「青山に 比(ヒ)が隠らば ぬばたまの 夜は出でなむ」
② 太陽の光や熱。日光。日ざし。
万葉(8C後)一〇・一九九五「六月の地さへ割けて照る日にも吾が袖乾めや君に逢はずして」
③ 太陽が東に出てから西に沈むまでの間。ひるま。ひる。日中。
※古事記(712)中・歌謡「日日並(かかな)べて 夜には九夜 比(ヒ)には十日を」
④ 時間の単位としての一日。また、その重なり。
(イ) 日の出から次の朝の日の出まで。日没から次の日没まで。天文学的には午前零時から午後一二時まで。二四時間。一昼夜。一日。
※三教指帰(797頃)上「日慎一日。時競一時。孜孜鑽仰。切切斟酌
(ロ) 時の流れの中のある時点、時期を、単位としての一日になぞらえていう。時。折。一時期。時代。「若き日の彼女」
※万葉(8C後)三・二四三「大君は 千歳にまさむ 白雲三船の山に 絶ゆる日(ひ)あらめや」
(ハ) 一定の日。日限。また、日時。
※竹取(9C末‐10C初)「日を定て、御かりに出たまうて」
源氏(1001‐14頃)蜻蛉「日を延べても、さる事はする物を」
(ニ) 日数。ひかず。
※万葉(8C後)一八・四一二二「雨零らず 日の重れば 植ゑし田も 蒔きし畠も 朝毎に 凋(しぼ)み枯れゆく」
⑤ (「…した日には(にゃあ)」の形で) そういう場合。…の際。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「なにか二人が来るさうさう、薬鑵ましい事をいふ様だけれど、その肘がはづれて土瓶そつちに倒れるひにゃアまて火鉢はねへ」
⑥ 日柄。また、よい日柄の日。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「明日なん、日よろしく侍らば」
空模様。天気のぐあい。
※土左(935頃)承平五年二月五日「ふねとくこげ。ひのよきに」
皇室皇族に関する事柄につけて、ほめたたえる気持を表わす語。日の神、すなわち、天照大神の子孫の意とも、光り輝く太陽にたとえたことばともいう。「日の御子」「日の御門」など。
⑨ 紋所の名。太陽にかたどったもの。旭光(きょっこう)、十二日足車、六つ日足車などの種類がある。
[2] 〘語素〙 (下に体言、または体言に準ずる語を伴って) 毎日、日ごとの意。「日風呂」「日掛け」など。
[補注]上代特殊仮名づかいでは甲類であり、「ひ(火)」の「ひ」は乙類であるところから、本来「ひ(火)」とは別語。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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