日光菩薩(読み)ニッコウボサツ

デジタル大辞泉 「日光菩薩」の意味・読み・例文・類語

にっこう‐ぼさつ〔ニツクワウ‐〕【日光菩薩】

《〈梵〉Sūrya-prabhāの訳》薬師如来脇侍きょうじ。右の月光がっこうに対して左に配される。彫像では薬師寺の金堂三尊像や東大寺法華堂三月堂)の塑像有名

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精選版 日本国語大辞典 「日光菩薩」の意味・読み・例文・類語

にっこう‐ぼさつ ニックヮウ‥【日光菩薩】

(「日光」はSūrya-prabhā の訳語) 仏語月光菩薩(がっこうぼさつ)とともに、薬師如来脇侍(きょうじ)。薬師の左脇に侍立し、蓮上の日輪太陽)を左手に持つ。
神道集(1358頃)三「左面は日光菩薩右面月光菩薩」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日光菩薩」の意味・わかりやすい解説

日光菩薩
にっこうぼさつ

薬師如来(やくしにょらい)の脇侍(きょうじ)で、月光菩薩と一対になる。日光はサンスクリット語スーリヤ・プラバSūrya-prabhaの訳。インドでは太陽神(スーリヤ)が古くベーダ時代から信仰されていたが、それが力を増してくるのは西方の思想の影響によるらしく、紀元前2世紀ごろから太陽神信仰の図像的表現が顕著になる。無量(むりょう)光仏、弥勒(みろく)菩薩、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)、大日(だいにち)如来、日天もみな光と関係があり、日光菩薩もそうした思想背景のなかから生まれた。なお、Sūryaはラテン語sol、ギリシア語hēliosと同語源である。日本の彫像としては、東大寺法華(ほっけ)堂、薬師寺金堂の像が有名。類似の神格として密教の日天がある。

[定方 晟]

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百科事典マイペディア 「日光菩薩」の意味・わかりやすい解説

日光菩薩【にっこうぼさつ】

月光(がっこう)菩薩と並ぶ薬師如来の脇侍。太陽の慈悲光を人格化し,〈薬師経疏(ぎょうしょ)〉にはその本生譚(ほんじょうたん)と薬師如来の跡を継ぐべき菩薩であることを説く。東大寺法華堂,薬師寺金堂の像が有名。
→関連項目定慶薬師

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日光菩薩」の意味・わかりやすい解説

日光菩薩
にっこうぼさつ
Sūryaprabha

月光菩薩 (がっこうぼさつ) とともに薬師如来の脇侍で,単独で信仰されることはない。この菩薩の誓願や慈悲は,あたかも日光が世界を照すように,あまねく世間を照すという。奈良薬師寺金堂本尊の脇侍像は,白鳳時代を代表する優品。平安時代の遺品としては,京都醍醐寺,奈良法隆寺講堂などの薬師如来の脇侍,鎌倉時代の代表的遺例としては神奈川覚園寺の木像などがある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「日光菩薩」の解説

日光菩薩
にっこうぼさつ

薬師如来の脇侍(きょうじ)で,如来の左に配され右の月光菩薩に対する。名称は,太陽の光があらゆる闇を照らすように,輪廻の闇を照らして衆生(しゅじょう)を救済する徳をもつとされることに由来。多くは京都醍醐寺薬師堂の日光像のように蓮の上に日光をのせ蓮華の茎をもつが,薬師寺金堂や法隆寺講堂の日光像のように持物のない例もある。胎蔵界曼荼羅(まんだら)では地蔵院の一尊とされ,左手に幢(どう)をもち,右手は手のひらを上むきにする。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「日光菩薩」の解説

日光菩薩 にっこうぼさつ

太陽の光が闇をてらすように人々をすくうという菩薩。
薬師三尊のひとつ。薬師如来の左脇に侍し,右脇の月光(がっこう)菩薩と対をなす。日輪をのせた蓮(はす)の茎をもつ姿であらわされるが,持ち物のない姿もある。奈良の東大寺,薬師寺,法隆寺の像が有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「日光菩薩」の意味・わかりやすい解説

日光菩薩 (にっこうぼさつ)

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世界大百科事典(旧版)内の日光菩薩の言及

【薬師】より

…薬師瑠璃光(るりこう)如来とも呼ばれる。薬師は菩薩時代に12の大願を立て(その中に自分の名を聞く者を不具や病気から救うという項目がある),仏となって東方の浄瑠璃世界の主となり,日光菩薩,月光菩薩(日光・月光)を従えている。死の病人を救うために薬師如来に祈る供養法(続命法)が行われ,また薬師経を唱える信者を十二神将が守護するとも説かれる。…

※「日光菩薩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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