日曜新聞(読み)にちようしんぶん(英語表記)Sunday newspaper

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日曜新聞」の意味・わかりやすい解説

日曜新聞
にちようしんぶん
Sunday newspaper

日曜日だけに発行される新聞。一般に、イギリスアメリカ日刊紙月曜日から土曜日のウィークデーに発行されており、日曜日に新聞を読むには日曜新聞に頼る以外にない。1642年のピューリタン革命以降、イギリスでは安息日としての日曜日に商活動を行うことを禁止する法律が成立し、とくにチャールズ2世の時代には、日曜日に新聞を売る者に罰金を科した。こうした社会背景のなかで最初に日曜新聞を発行したのはエリザベス・ジョンソンで、1779年『ブリティッシュ・ガゼット・アンド・サンデー・モニター』The British Gazette and Sunday Monitorを創刊した。これに続き1791年までに、有名な『オブザーバー』を含め四紙の日曜新聞が発行された。これに対し、宗教関係者らは日曜新聞の発行を妨害しようとしたが、日曜新聞が、休日に娯楽やニュースを求めるイギリス労働者に広く受け入れられたため成功しなかった。『ニューズ・オブ・ザ・ワールド』『サンデー・ミラー』などがイギリスの代表的大衆日曜新聞で、高級紙としては『サンデー・タイムズ』『オブザーバー』『サンデー・テレグラフ』などがあげられる。アメリカではイギリスと異なり、日刊紙が題号を変えて日曜新聞を発行している場合が多い。

 日本には日曜新聞はないが、1960年代なかばごろから販売競争の激化に伴い、有力紙が付録として日曜版(日曜付録Sunday supplement)を発行している。

[鈴木ケイ]

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改訂新版 世界大百科事典 「日曜新聞」の意味・わかりやすい解説

日曜新聞 (にちようしんぶん)
Sunday newspaper

日曜日だけに発行される週刊紙当初,新聞はキリスト教の安息日の日曜日には休刊するのが習慣であった。しかし,1780年イギリスでエリザベス・ジョンソン夫人が最初の日曜新聞《E.ジョンソンズ・ブリティッシュ・ガゼット・アンド・サンデー・モニターE.Johnson's British Gazette,and Sunday Monitor》を発行した。これは労働者階級を読者対象に週間ニュース,宗教記事などを中心としたものであった。後には《オブザーバー》《サンデー・タイムズ》が犯罪記事やスキャンダルなどを載せて成功した。アメリカでは1796年から日曜新聞が発行されていたが,1833年《ボストングローブ》が姉妹紙として日曜新聞《ボストン・サンデー・グローブ》を出してから,日刊紙が日曜新聞を発行するのが一般化した。20世紀になってからは掘り下げた取材,洗練された文章でニュースの背景,解説などを伝える内容を特色とするようになった。

 日本には日曜新聞はないが,1960年代半ばから販売競争の激化によって有力紙が日曜日付の本紙付録としてカラー印刷による日曜版を発行するようになった。これは日曜付録Sunday supplementと呼ばれ,日曜新聞とは区別されるもの。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日曜新聞」の意味・わかりやすい解説

日曜新聞
にちようしんぶん

日曜ごとに発行される週刊紙の一種であるが,特に日刊紙の付録または別紙として発行されるものをさす。欧米の新聞のほとんどは日曜に発行されないから,日曜新聞が別紙として (たとえば『ロンドン・タイムズ』と『サンデー・タイムズ』のように) 発行されることが多い。 J.ピュリッツァーが『ワールド』を買収直後創刊して大ヒットした『サンデー・ワールド』のように,センセーショナリズムの傾向が強い。日本では共産党の機関紙『赤旗』の大衆版である『赤旗日曜版』が代表的な日曜新聞。

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