日本工業倶楽部(読み)にほんこうぎょうくらぶ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本工業倶楽部」の意味・わかりやすい解説

日本工業倶楽部
にほんこうぎょうくらぶ

1917年3月に設立された実業家団体。初代理事長は団琢磨製鉄業の保護,税制改革など産業,財政問題をはじめ,対労働者問題に精力的に取組み,政府政策決定に際しては多大の影響力をもった。特に第1次世界大戦後労働運動が高揚するなかで一貫してきびしい態度をとり,31年浜口雄幸内閣が労働組合法を制定しようとするのを阻止した。しかし,その後 22年創立された日本経済連盟会多数の実業家を結集するにつれ,実業界の中心的位置から遠ざかり,次第に社交クラブとしての色彩を濃くした。現在も存続している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本工業倶楽部」の意味・わかりやすい解説

日本工業倶楽部
にほんこうぎょうくらぶ
Industry Club of Japan

工業資本家間の連絡を強め、工業の発展を図ることを目的として1917年(大正6)に設立された公益法人。会員制で、当初は工業資本家だけで構成されていたが、現在では金融、商事関係者も加わっている。第二次世界大戦前はあらゆる経済活動中枢であったが、経済団体連合会と日本経営者団体連盟(両団体は2002年統合し、日本経済団体連合会となる)の発足後は財界活動と労働問題をそれらにゆだね、現在は社交クラブの活動に限定している。所在地は東京都千代田区丸の内。

[森本三男]

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百科事典マイペディア 「日本工業倶楽部」の意味・わかりやすい解説

日本工業倶楽部【にほんこうぎょうくらぶ】

工業事業家の連絡強化と工業の発展を図るための社団法人。1917年設立。〈財界の奥の院〉と呼ばれ,政府の政策にも強い影響を与えたが,初代理事長の団琢磨が1932年血盟団事件で暗殺されて以後財界人の純粋な社交団体となった。

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