日給の簡(読み)にっきゅうのふだ

精選版 日本国語大辞典 「日給の簡」の意味・読み・例文・類語

にっきゅう【日給】 の 簡(ふだ)

宮中で、出勤者の確認のために用いた大形の木簡。長さ五尺三寸、幅上八寸下七寸、厚さ六分で、その下部に在籍者の官位姓名を列記したもの。殿上人のものは清涼殿に、女官のものは台盤所に、その他は諸官司ごとに置き、出勤者は自分の名の下に日付を記した紙片すなわち放紙(はなちがみ)を貼った。にきゅうのふだ。ひだまいのふだ。仙籍
九暦‐逸文・天暦四年(950)七月二三日「又殿上日給簡召内裏御書所書手一人令書之」

にきゅう【日給】 の 簡(ふだ)

弁内侍(1278頃)寛元五年六月一日「殿上久しくたたずみて、にきうの御ふだ、着到など見て」

ひだまい【日給】 の 簡(ふだ)

※宇津保(970‐999頃)内侍督「御前なるひだまひのふだに、内侍督になすよしかかせ給て」

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デジタル大辞泉 「日給の簡」の意味・読み・例文・類語

にっきゅう‐の‐ふだ〔ニツキフ‐〕【日給の簡】

日給2の確認のために殿上てんじょうの間西北の壁に立てかけた札。殿上人てんじょうびとの官位姓名を記し、出仕者は自分の名の下に日付を記した紙片、すなわち放ち紙をはった。仙籍。ひだまいのふだ。

ひだまい‐の‐ふだ〔ひだまひ‐〕【日給の簡】

にっきゅうのふだ」に同じ。
「御前なる―に、内侍の督になすよしかかせ給ひて」〈宇津保・内侍督〉

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改訂新版 世界大百科事典 「日給の簡」の意味・わかりやすい解説

日給の簡 (にっきゅうのふだ)

朝廷で殿上に出仕する者の官位姓名を記し,上番する日を示す簡。殿上簡(てんじようのふだ)ともいうが,仙籍(せんせき)ともいう。殿上を仙といい,簡を籍というのに由来する。日給の簡に名を記されると〈簡につく〉〈仙籍をゆるされる〉といい,逆に罪を犯すと氏名を簡から削り昇殿を止めるが,これを〈除籍する〉という。簡は午前に殿上の間に出し,夕刻には袋に入れて納めた。長さは5尺3寸,上方の幅8寸,下方の幅7寸,厚さ6分。表を3段に分け,上段に四位,中段に五位,下段に六位の官人の氏名を記す。上番の者は放紙(はなちがみ)と称する小紙片に日付を,宿直の者はさらに放紙の日付の下に〈夕〉の字を書いて自分の氏名の下にはり,それを集計したものを翌月1日に天皇に奏する。月奏という。日給の簡の取扱いや放紙の形式などは《侍中群要》や《禁秘抄》にくわしい。殿上に仕えた女房にも女房簡があるが,台盤所に置かれていた。
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