日野熊蔵(読み)ひのくまぞう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日野熊蔵」の意味・わかりやすい解説

日野熊蔵
ひのくまぞう
(1878―1946)

陸軍軍人中佐)。熊本県出身。日本航空界の先駆者佐倉の歩兵連隊から臨時軍用気球委員会に入り、大尉当時の1910年(明治43)にフランスで操縦術を学ぶ。グラーデ単葉機を購入して帰国、同年12月19日に代々木練兵場で徳川好敏(とくがわよしとし)大尉とともに日本初の公開飛行を行った。その後も日野式飛行機の開発に努力したが飛行に至らず、航空からかわって福岡歩兵連隊大隊長、十条火薬製造所長などを歴任した。

[青木謙知]

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百科事典マイペディア 「日野熊蔵」の意味・わかりやすい解説

日野熊蔵【ひのくまぞう】

日本航空界の先駆者。陸軍軍人。熊本県出身。陸軍技術審査部員として自動車研究から飛行機に志し,1910年(明治43年)ドイツへ派遣されて操縦技術を習得,同年12月19日代々木練兵場でグラーデ機により,徳川好敏に次いで高度約45m,距離約1000mの飛行に成功した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「日野熊蔵」の解説

日野熊蔵 ひの-くまぞう

1878-1946 明治-大正時代の軍人。
明治11年6月9日生まれ。43年陸軍大尉のときドイツで飛行機の操縦術をまなび,グラーデ単葉機を購入して帰国。同年12月19日東京代々木練兵場で徳川好敏(よしとし)と日本最初の公開飛行に成功した。大正5年陸軍中佐。昭和21年1月15日死去。69歳。熊本県出身。陸軍士官学校卒。

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世界大百科事典(旧版)内の日野熊蔵の言及

【航空】より

…巡航速度のきわめて低いこと,外形が大き過ぎて取扱いが不便なことなどが,おもな理由である。
[日本における発達]
 日本の航空活動は欧米諸国より遅れてスタートし,1910年,徳川好敏(1884‐1963),日野熊蔵(1878‐1946)が,それぞれフランスとドイツから輸入した飛行機で初飛行したのに始まる。一方では,同年山田猪三郎製作の飛行船が初飛行し,11年奈良原三次製作の飛行機が初飛行するなどの活躍もあったが,その技術水準は欧米に及ばず,結局は先進国からの技術導入,ライセンス生産によって,日本の航空工業は始まった。…

※「日野熊蔵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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