昆明池障子(読み)こんめいちのしょうじ

改訂新版 世界大百科事典 「昆明池障子」の意味・わかりやすい解説

昆明池障子 (こんめいちのしょうじ)

〈こめいち〉ともいう。禁裏の著名な障屛の一つ。清涼殿の東側の広廂に置かれた衝立弘徽殿(こきでん)上御局の前,二間(ふたま)との境にあり,荒海障子と向かい合う。高さ6尺(1.8m),幅9尺(2.7m),南面は漢武帝が長安郊外に造った昆明池,北面は嵯峨野小鷹狩の図で,絹張極彩色,各上部に色紙形(しきしがた)で和歌を書く。嵯峨天皇の弘仁年間(810-824)に賢聖障子(けんじようのしようじ),荒海障子とともに描かれたのが初めと伝えられる。叙位や官奏などがこの障子のそばで行われた。
障屛画
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百科事典マイペディア 「昆明池障子」の意味・わかりやすい解説

昆明池障子【こんめいちのしょうじ】

清涼殿の弘廂(ひろびさし)に置かれた衝立(ついたて)障子。表に漢の武帝が水戦訓練のために長安城の西に掘ったという昆明池に関する中国故事を描き,裏に日本の嵯峨野の小鷹(こたか)狩の風物を描く。《伴大納言絵詞》に描かれている。→荒海障子
→関連項目障子

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世界大百科事典(旧版)内の昆明池障子の言及

【昆明池障子】より

…〈こめいち〉ともいう。禁裏の著名な障屛の一つ。清涼殿の東側の広廂に置かれた衝立。弘徽殿(こきでん)上御局の前,二間(ふたま)との境にあり,荒海障子と向かい合う。高さ6尺(1.8m),幅9尺(2.7m),南面は漢武帝が長安郊外に造った昆明池,北面は嵯峨野の小鷹狩の図で,絹張,極彩色,各上部に色紙形(しきしがた)で和歌を書く。嵯峨天皇の弘仁年間(810‐824)に賢聖障子(けんじようのしようじ),荒海障子とともに描かれたのが初めと伝えられる。…

【清涼殿】より

…東廂の東が孫廂で,南北9間,東西1間の板葺きで,床は身舎より一段低くなっている。二間と弘徽殿上御局の境に昆明池障子(こんめいちのしようじ)が置かれ,北の突当りは荒海障子で仕切られている。〈北廂〉は東西3間,南北1間,北廊を経て滝口陣,承香殿や弘徽殿に通じる。…

【衝立】より

…これは高さ7尺,幅1丈2尺とたいへん大きく,禁裏で使われた。平安時代の衝立では清涼殿の庇(ひさし)に置かれた昆明池障子(こんめいちのしようじ),年中行事障子,馬形障子などが有名である。これらはその後も禁裏の調度として伝承されている。…

※「昆明池障子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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