明か(読み)あきらか

精選版 日本国語大辞典 「明か」の意味・読み・例文・類語

あきら‐か【明か】

〘形動〙 (「あく」「あける」などと同語源。さえぎるものがなく、開け、通じているさまにいう)
① 光が満ちて、すみずみまで照らしているさま。明るいさま。
(イ) 外界事象心情に、曇りや暗いところがなく、はっきりと明るいさま。
書紀(720)神代上(水戸本訓)「其(そ)れ清(す)み陽(アキラカナル)ものは薄靡(たなび)きて天(あめ)と為(な)れり」
源氏(1001‐14頃)若菜下「むつかしく物おぼし乱れず、あきらかにもてなし給ひて、このいたく面やせ給へる、つくろひ給へ」
(ロ) 景観が明るく、広く開けているさま。
※源氏(1001‐14頃)明石「月ごろの御すまひよりは、こよなくあきらかに、なつかしき」
物事道理がはっきりとしているさま。
(イ) 物事が他と紛れなく明白であるさま。また、疑いなく確かなさま。
※書紀(720)允恭五年七月(図書寮本訓)「天皇分明(アキラカニ)其の状を知(しろしめ)せ欲(むとし)て」
※源氏(1001‐14頃)若菜下「仏神も聞き入れ給ふべき言の葉はあきらかなり」
(ロ) 物事の道理に明るいさま。聰明。賢明。
※大唐西域記長寛元年点(1163)五「闊達、多智にして明敏(アキラカナリ)
徒然草(1331頃)一九四「あきらかならん人の、まどへる我等を見んこと、掌(たなごころ)の上の物を見んが如し」
③ 目がよく見えるさま。
今昔(1120頃か)四「願くは此の衆(もろもろ)の涙を以て彼の盲したる眼を洗はむに、明(あきらか)なる事を得て、見る事、本の如(ごとくな)らむと」
④ 心が純粋なさま。邪心のないさま。正直なさま。
※古文真宝笑雲抄(1525)一〇「赤心と云は明なる心ぞ。少も無他心ぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「明か」の意味・読み・例文・類語

さや‐か【明か/清か】

[形動][文][ナリ]
さえて明るいさま。「星が―な光を放つ」
音・声がさえてよく聞こえるさま。
振鈴しんれいの響―に聞こゆるは」〈樗牛滝口入道
さわやかなさま。爽快なさま。 秋》「瀬に入れば四方よもに波あり―かな/友次郎」
「―な、滑稽な会話から何とも云えず、心が清くなり」〈横光家族会議
はっきりしているさま。
誰乎彼たそがれ黯黮くらがりにて、―に面貌かおかたちを弁ぜざりしが」〈紅葉金色夜叉
[類語]明らかはっきりありありまざまざ定かくっきりしかきわやか鮮やか明瞭めいりょう鮮明分明顕著顕然歴然歴歴瞭然りょうぜん亮然りょうぜん判然画然かくぜん截然せつぜん明るい見るから明快平明簡明明晰明白明明白白端的めっきり浮き彫りクリア鮮明明確明解自明彷彿鮮烈一目瞭然手に取るようたなごころを指すまがう方ない隠れもない火を見るよりも明らか目に見える言わずと知れた紛れもない

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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