易水(読み)えきすい

精選版 日本国語大辞典 「易水」の意味・読み・例文・類語

えき‐すい【易水】

中国河北省易県の付近から発し、大清河合流する川。三源あって北易水(濡水)、南易水、中易水(武水)に区別され、通常は中易水をさす。

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デジタル大辞泉 「易水」の意味・読み・例文・類語

えき‐すい【易水】

中国河北省を流れる川。太行たいこう山脈北部の五廻嶺ごかいれいに源を発し、大清河だいせいがに合流。戦国時代えんのためしん始皇帝暗殺に赴く刺客荊軻けいかが、この川のほとりで太子丹との別れに「風蕭々として易水寒し、壮士ひとたび去ってた還らず」と詠じた。イーシュイ。

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普及版 字通 「易水」の読み・字形・画数・意味

【易水】えきすい

川の名。軻が燕の太子丹に別れるとき歌った易水歌がある。〔戦国策、燕三〕風として易水し 壯士一たび去つて復(ま)たらず

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「易水」の意味・わかりやすい解説

易水
えきすい / イースイ

中国の河川。海河(かいが/ハイホー)の支流大清河(だいせいが)の上流の一支流。河北(かほく/ホーペイ)省中部の易県の西、太行(たいこう/タイハン)山脈の東麓(とうろく)に源をもち、北易水(濡水(じゅすい))、中易水、南易水(雹水(はくすい))の3源があるといわれる。この小さな河川が有名なのは、戦国時代の燕(えん)の太子丹(たん)と荊軻(けいか)の故事による。この付近は戦国時代、燕国の南境をなし、燕の長城も設けられていた。戦国末期、日増しに強大になる秦(しん)は各国を滅ぼし、燕の南の易水へ兵を進めた。これに対して丹は秦王を暗殺するために荊軻を刺客として遣わすとき、この易水のほとりで送別の宴を設けた。このとき荊軻の歌った「風蕭蕭(しょうしょう)として易水寒し。壮士ひとたび去って復(ま)た還(かえ)らず」(『史記』刺客列伝)という語句は有名である。

[秋山元秀]

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