昨夢紀事(読み)さくむきじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「昨夢紀事」の意味・わかりやすい解説

昨夢紀事
さくむきじ

越前(えちぜん)藩(福井県)参政中根雪江(なかねせっこう)の日記で15巻。藩主松平慶永(よしなが)(号春嶽(しゅんがく))と老中阿部正弘(まさひろ)、水戸斉昭(みとなりあき)、島津斉彬(なりあきら)ほか有力大名との往復書簡を収録。1853年(嘉永6)ペリー来航の6月3日の翌日から58年(安政5)7月5日に至る間の国家の大事、米艦渡来と開国・鎖国両論の対立、水戸藩の内争、阿部正弘の努力と死、朝幕間の交渉、井伊直弼(なおすけ)の大老就任と将軍継嗣(けいし)問題などの重要記事を含み、嘉永(かえい)・安政(あんせい)年間(1848~60)の史料として第一級のもの。その続編が『再夢紀事(さいむきじ)』(1862年〈文久2〉4~8月)2巻。さらに福井藩では『続再夢紀事』(1862年8月~67年〈慶応3〉9月)22巻を編集。いずれも、「日本史籍協会叢書(そうしょ)」(東京大学出版会)に収める。

[宮崎道生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「昨夢紀事」の意味・わかりやすい解説

昨夢紀事
さくむきじ

越前藩士中根雪江が藩主松平慶永の国事奔走事歴を擁護した幕末史書。 15巻。藩主が安政の大獄謹慎を命じられたあと執筆を始め,万延1 (1860) 年に完成。豊富な文書記録を駆使して当時の政治情勢を詳しく述べている。『日本史籍協会叢書』所収

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