時計・土圭(読み)とけい

精選版 日本国語大辞典 「時計・土圭」の意味・読み・例文・類語

と‐けい【時計・土圭】

〘名〙
① 時間をはかり、また、時刻を示す機械。西洋では、太陽の動きによって時間を測定する日時計から始まり、水時計、砂時計、火時計などを経て、現在の機械時計になった。日本では、古くはもっぱら漏刻(ろうこく)(=水時計)が使用されていたが、一六世紀後半、西洋から機械時計がはいるに及んで、日本の時刻制度に基づく和時計が作られた。従来の普通の時計は、引き上げた分銅、巻いたぜんまい、電気などの力により歯車が動き、時刻を示した文字盤の上を針が回転する仕掛けになっているが、現在は水晶時計(クオーツ時計)が主流で、ほかに音叉時計・原子時計などもある。形式・用途によって、柱時計・懐中時計・腕時計・置時計・ストップウォッチクロノメーターなどの種類があり、表示方式によりアナログ式とデジタル式に大別される。時辰儀自鳴鐘
蔭凉軒日録‐延徳三年(1491)正月二五日「俊秀公置斗景晷。及申刻則先鳴鐘集大衆
② (土圭) 土地の方向・寒暑風雨の多少あるいは時間などを、その日影によって測定する器具。
※菅家文草(900頃)七・清風戒寒賦「土圭景急、四騶之驟无前」 〔周礼‐地官・大司徒
[語誌](1)表記は本来「土圭」であり、日時計のことであった。一四世紀にヨーロッパで機械時計が製作され、キリスト教宣教師によって中国、日本にもたらされた。日本では天文二〇年(一五五一)にフランシスコ=ザビエル大内義隆に献上したのが最初だと言われている。
(2)中国では、時打ち時計である機械時計には「土圭」ではなく、「自鳴鐘」が使用された。日本でも江戸時代には和語の「ときはかり」〔日葡辞書〕の漢字表記と思われる「時計」が広く用いられていた。しかし幕末・明治初期の漢語重視の時代には「時計」が字音的表記でないところから、「時器」「時辰儀」「時辰表」が一時的に使用された。ただしこれらの表記が使用される場合でも、振り仮名はあくまでも「とけい」であった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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