景初四年銘盤龍鏡(読み)けいしょよねんめいばんりゅうきょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「景初四年銘盤龍鏡」の意味・わかりやすい解説

景初四年銘盤龍鏡
けいしょよねんめいばんりゅうきょう

京都府福知山市広峯の丘陵稜線上にある広峯古墳群の広峯 15号墳 (4世紀末~5世紀初頭ころの前方後円墳) から出土した銅鏡割竹形木棺の内部より剣,鉄斧 (てっぷ) ,鉄鏃 (てつぞく) とともに見つかった。銅鏡は直径 16.8cmの四頭式盤龍鏡で,銘帯には裏文字を含む「景初四年五月丙午之日陳是作鏡吏人みょう之位至三公母みょう人之保子宜孫壽如金石兮」と判読された 35文字の銘文が見える。鏡は鋳上がりも良く,類似文様を有するものが中国から出土していることなどから中国製と考えられる。その後兵庫県辰馬考古資料館蔵品中に同笵鏡 (出土地不詳) が見いだされ,にわかに注目を集めた。これらの鏡背銘文にある「景初四年」は卑弥呼が魏に朝貢を行なった景初三 (239) 年の翌年に当たるが,改元で正始元 (240) 年となって実在しない年号である。紀年銘鏡に見られる魏の年号には「景初三年」「正始元年」等があり,これらの年号を持つ銅鏡の中には魏から卑弥呼へ下賜されたものが含まれていると考えられているが,「景初四年」銘を日本での鋳造による誤記と見て,さらに「正始元年」銘等の三角縁神獣鏡国産とみなす説が出されている。

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