智恵子抄(読み)ちえこしょう

精選版 日本国語大辞典 「智恵子抄」の意味・読み・例文・類語

ちえこしょう チヱこセウ【智恵子抄】

詩集高村光太郎作。昭和一六年(一九四一)刊。亡き妻智恵子との愛の記録ともいうべき詩二九編、短歌六首、散文三編からなる。

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デジタル大辞泉 「智恵子抄」の意味・読み・例文・類語

ちえこしょう〔チヱこセウ〕【智恵子抄】

高村光太郎の詩集。昭和16年(1941)刊。恋愛から、結婚、死別までの、妻智恵子への愛を歌う。
中村登監督による映画題名。昭和42年(1967)公開と、佐藤春夫による小説「小説智恵子抄」をあわせて翻案出演丹波哲郎岩下志麻ほか。第22回毎日映画コンクール撮影受賞

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「智恵子抄」の意味・わかりやすい解説

智恵子抄
ちえこしょう

高村光太郎(こうたろう)の代表詩集の一つ。1941年(昭和16)8月、龍星閣(りゅうせいかく)刊。詩29編、短歌6首、散文3編を収めている。詩は、1912年(明治45)の「人に」から、40年の「梅酒」まで、智恵子に愛を告げる歌から、その没後10年を経て彼女を追憶する作までをほぼ編年体に並べて、さながら光太郎・智恵子夫妻の叙事詩集の趣(おもむき)となっている。ここで光太郎の目ざしたのは、智恵子が彼の目覚めであり、彼が智恵子の目覚めであるような、二身一体の愛と生命賛美であり、自然法悦の賛嘆である。それだけに智恵子の狂気は痛ましく、彼女の死をめぐっての光太郎の慟哭(どうこく)は痛切である。いわゆる愛の詩集として、またヒューマンドキュメントとして、希有(けう)な位置を今日も保つ詩集である。版も幾度も重ねられた。

[安藤靖彦]

『『智恵子抄』(新潮文庫)』『草野心平編『高村光太郎と智恵子』(1959・筑摩書房)』『郷原宏著『詩人の妻 高村智恵子ノート』(1983・未来社)』

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百科事典マイペディア 「智恵子抄」の意味・わかりやすい解説

智恵子抄【ちえこしょう】

高村光太郎の詩集。1941年刊。他界した夫人智恵子をしのんで編んだもの。詩29編,短歌6首,〈智恵子の半生〉ほか2編の回想記を収める。光太郎の精神的危機を救った智恵子との結婚生活,その狂気の時期,死後追慕をうたった愛の詩集である。

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デジタル大辞泉プラス 「智恵子抄」の解説

智恵子抄〔映画:1967年〕

1967年公開の日本映画。監督:中村登、原作:佐藤春夫、高村光太郎、脚色:広瀬襄、中村登。出演:丹波哲郎、岩下志麻、佐々木孝丸、田代信子、中山仁、加藤嘉、宝生あやこほか。第22回毎日映画コンクール撮影賞、録音賞、女優主演賞(岩下志麻)受賞。

智恵子抄〔映画:1957年〕

1957年公開の日本映画。監督:熊谷久虎、原作:高村光太郎、脚本:八住利雄、撮影:小原譲治。出演:山村聡、原節子、柳永二郎、三好栄子、津山路子、太刀川洋一、小野松枝ほか。

智恵子抄〔ドラマ〕

TBS系列放映による日本の昼帯ドラマ。花王愛の劇場。放映は1970年11~12月。原作は高村光太郎の同名詩集、佐藤春男『小説智恵子抄』。出演:木村功、佐藤オリエほか。

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