(読み)アン

デジタル大辞泉 「暗」の意味・読み・例文・類語

あん【暗】[漢字項目]

[音]アン(漢) [訓]くらい ひそかに そらんずる
学習漢字]3年
くらい。やみ。「暗黒暗室明暗幽暗
黒っぽい。「暗紅色
道理がわからない。「暗愚暗君
はっきり外に見えない。人知れず。「暗号暗殺暗示
(「あん」と通用もとのものを見なくてもよいように覚える。「暗記暗算暗唱暗譜

くれ【暗】

暗いこと。また、暗く陰になっているところ。
「天の原富士の柴山木の―の時ゆつりなば逢はずかもあらむ」〈・三三五五〉
秩序が乱れていること。
「京中おびただしき―にてぞ有りし」〈五代帝王物語

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「暗」の意味・読み・例文・類語

くれ【暗】

〘名〙 (動詞「くれる(暗)」の連用形名詞化)
① 物の陰になっていて暗いこと。暗い所。
万葉(8C後)一四・三三五五「天の原富士の柴山木(こ)久礼(クレ)の時移りなば逢はずかもあらむ」
② 混乱していること。乱れていること。
※五代帝王物語(1302‐27頃)亀山「京中夥(おびたた)しきくれにてぞ有りし」
[補注]「に」と結合して副詞となり、精神的に暗いさまを表わす。→くれに

くら・す【暗】

〘他サ四〙
① 悲しみなどで心を暗くする。また、涙が目をくもらして、見えないようにする。
蜻蛉(974頃)上「この御袈裟と書きはじむるより、涙にくらされて」
② あるものに心を奪われて、平常心をうしなう。
仮名草子伊曾保物語(1639頃)下「人あって引物をさされければ宝に目をくらして、理を非に枉ぐる事是多し」

くらき【暗】

〘名〙 (形容詞「くらし」の連体形から) 仏法上の真理を悟ることなく、煩悩(ぼんのう)に悩まされ迷うこと。無明(むみょう)の闇(やみ)
※観智院本三宝絵(984)下「仏もましまさず、ひじりもいまさざるあひだに、くらきよりくらきに入て、心のまどひさかりにふかく」

くら【暗】

(形容詞「くらい」の語幹) くらいこと。また、そのさま。感動表現に用いられる。
落窪(10C後)一「いとをかしげなりと見る程に、火消えぬ。〈略〉『あなくらのわざや』」

く・る【暗】

〘自ラ下二〙 ⇒くれる(暗)

くら・し【暗】

〘形ク〙 ⇒くらい(暗)

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