暴力追放運動推進センター(読み)ボウリョクツイホウウンドウスイシンセンター

デジタル大辞泉 の解説

ぼうりょくついほううんどう‐すいしんセンター〔ボウリヨクツイハウウンドウ‐〕【暴力追放運動推進センター】

暴力団員による不当行為防止被害救済目的とする公益法人暴力団対策法に基づいて、国家公安委員会と各都道府県公安委員会それぞれ指定する。暴追センター

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

暴力追放運動推進センター
ぼうりょくついほううんどうすいしんせんたー

暴力団排除や被害者救済を目的とする公益財団法人。1992年(平成4)施行の暴力団対策法により全都道府県に設置され、これらを取りまとめる全国組織(全国暴力追放運動推進センター)が東京都内に設けられた。都道府県センターは各都道府県公安委員会が指定し、全国センターは国家公安委員会が指定する。暴力団被害者の「駆け込み寺」的な存在で、「暴力団追放県民会議」「暴追センター」「推進センター」などともよばれる。

 各都道府県センターでは、暴力団事務所に対する退去訴訟費用の貸付け、組員による被害への給付金支給のほか、暴力団から少年への働きかけの排除運動、常駐相談員による被害相談活動などを行う。また暴力団追放集会の開催、企業・団体向けの暴力団対応講習の実施、暴力団離脱者への支援、啓発ポスターの製作など暴力団排除の宣伝活動にも取り組む。全国センターは各都道府県センターの事業に対する助成や担当者向け研修を行うほか、暴力団の実態調査、追放運動功労者の表彰などを実施する。都道府県センターの運営費用は、発足時に自治体や住民が出し合った基本財産の運用益と賛助会員の会費でまかなわれている。常勤職員は警察官OBらが務めることが多い。

 2013年(平成25)1月施行の改正暴力団対策法には、暴力追放運動推進センターが住民にかわって暴力団事務所の使用差し止めを請求できる「適格団体」となる制度が盛り込まれた。住民を矢面に立たせないことで精神的不安や報復恐怖を取り除き、提訴二の足を踏まないようにすることがねらいである。この制度に基づき、徳島県ではセンターが暴力団事務所を退去させるなどの成果をあげている。ただし、適格団体の認定を受けるためには、訴訟費用などの財源確保、訴訟体制規定整備、専門家の助言を受けられる体制の整備の3条件を満たす必要があり、とくに訴訟費用の確保が足かせとなって、全都道府県センターの認定にはいたっていない。2014年2月末時点で適格団体となったのは47センター中34である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android