(読み)あばれる

精選版 日本国語大辞典 「暴」の意味・読み・例文・類語

あば・れる【暴】

〘自ラ下一〙 あば・る 〘自ラ下二〙
乱暴な行為をする。
(イ) 人や器物暴力を振るったりして、騒ぎたてる。無法なことをする。
※玉塵抄(1563)二一「豪放なあはれたうでこきをたつる者をみじきくだいたぞ」
日葡辞書(1603‐04)「コノ ワランベガ abarete(アバレテ) タマラヌ」
(ロ) 常識からはずれた行為をする。暴飲暴食など度を越した無茶なことをする。
仮名草子仁勢物語(1639‐40頃)上「古よりも暴(アバ)れてなん食らひける」
(ハ) 激しく身体を動かす。あちこちとはげしく動きまわる。
小学読本(1873)〈田中義廉〉一「此鳥は、馴れたりや、又は、暴るることありや」
② 勇ましく大胆に行動する。大活躍する。
※歌舞妓年代記(1811‐15)三「両人の紋付たる扇を遣り、来年中は随分あばれ候へ」

あばれ【暴】

〘名〙
① あばれること。荒れた行ないをすること。乱暴。
俳諧・破箒(1677)春「折やつをあばれとおもへ山ざくら〈宗俊〉」
浮世草子・好色三代男(1686)二「いでや手蕎麦(てそば)のあばれ、大のみ、早ぐひ、勝手しらず」
歌舞伎長唄などの囃子(はやし)で、太鼓を主奏楽器とした演奏荒事師の出や立ち回りに用いる。
※歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚(1809)三立「トあばれになり、雷雲、羽織衣裳の形(なり)にて、天秤棒(てんびんぼう)大福帳の荷を附け」

ぼう【暴】

〘名〙 (形動)
① あらあらしいこと。荒く、激しいこと。また、そのさま。
暦象新書(1798‐1802)上「星体天上を行は、〈略〉暴ならず遽ならずして」 〔詩経‐邶風・終風
道理にそむいていること。不法であること。乱暴であること。また、そのさま。
※文明本節用集(室町中)「主暴不諫非忠臣(シュボウナルヲイサメザルハチウシンニアラズ)新序〕」
史記抄(1477)一一「紂が暴なと云て伐が吾はさて暴ではない歟不知非也」 〔論語‐堯曰〕

あば・る【暴】

〘自ラ下二〙 ⇒あばれる(暴)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「暴」の意味・読み・例文・類語

ぼう【暴】[漢字項目]

[音]ボウ(呉) バク(慣) [訓]あばく あばれる
学習漢字]5年
〈ボウ〉
手荒に振る舞う。激しく荒々しい。「暴悪暴虐暴挙暴君暴言暴行暴動暴風暴力暴戻横暴凶暴狂暴粗暴乱暴
度を過ごす。「暴飲暴食暴利
だしぬけに。にわかに。「暴発暴落
素手で打ちかかる。「暴虎馮河ぼうこひょうが
〈バク〉
日光にさらす。「一暴十寒いちばくじっかん
むき出しにする。あばく。「暴露
[補説]は「ばく」と通用する。

ぼう【暴】

[名・形動]激しく荒々しいこと。不法なこと。無謀なこと。また、そのさま。
「今じゃア、まさかあんな―な事はできないワイ」〈逍遥当世書生気質

ばく【暴】[漢字項目]

ぼう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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