書上(読み)かきあげ

精選版 日本国語大辞典 「書上」の意味・読み・例文・類語

かき‐あげ【書上】

〘名〙 (動詞「かきあげる(書上)」の連用形名詞化)
① 書き終わること。
② 一つ一つ書いて示すこと。書き立てること。
書物(1944)甲〈森銑三〉二四「特殊本の書上げを求めて、その目録を編纂するなど」
下位の者から上位の者に文書を書いて差し出すこと。または、その文書。上申書。申し状。
高野山文書‐(年月日未詳)(江戸)立毛起請文「一、書上の坪付之内、一鎌も苅取不申候事」

しょ‐じょう ‥ジャウ【書上】

〘名〙 文書の表面書面
古事談(1212‐15頃)三「以書の上益智方居。書上読之数枚。次令其義趣之処。一々解釈之滞停
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四五「ラムリ近く傍らに到れば書上に涙痕あり」

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改訂新版 世界大百科事典 「書上」の意味・わかりやすい解説

書上 (かきあげ)

特定の事項を調査して,下位から上位の者・機関に上申すること,あるいはその文書。江戸時代に多く使われた用語であるが,とりわけ町方や村方から領主に差し出された上申文書にこの呼称を持つものが多い。帳面体のものは,書上帳,書出帳とも言っている。たとえば,幕府は金・銀・銭の三貨や米・大豆・油などの重要商品について,物価調節などの目的から定期ないし臨時に相場を書き上げさせたが,これを〈書上相場〉と言った。また,町や村ごとに家数,人数,土地,生業などの概況を書き上げさせた〈町方書上〉や〈村明細書上帳〉は,書上(帳)の代表的なものである。ほかにも〈高反別書上帳〉〈飢人書上書〉〈寺社由緒書上〉等々さまざまな書上(帳)がみられる。これらは,いずれも領主側が支配政策上必要に応じて書き上げさせたものであるから,あらかじめ示された雛形に従っていることが多いが,それだけに必ずしも記載内容が実態を正確に反映していない場合がある。
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