曽良(読み)ソラ

デジタル大辞泉 「曽良」の意味・読み・例文・類語

そら【曽良】

河合曽良かわいそら

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「曽良」の意味・わかりやすい解説

曽良
そら
(1649―1710)

江戸中期の俳人神道家。信濃(しなの)国上諏訪(かみすわ)(長野県諏訪市)の人。高野家に生まれて岩波家を嗣(つ)ぎ、岩波庄右衛門正字(しょうえもんまさたか)と名のる。曽良は俳号。若いころ伊勢(いせ)長島藩仕官、1683年(天和3)ごろまでに致仕(ちし)して江戸に下り、幕府の神道方吉川惟足(よしかわこれたり)について神道(しんとう)、和歌などを学び、やがて芭蕉(ばしょう)に入門。このころ河合惣五郎(かわいそうごろう)を通称としたか。1687年(貞享4)秋、芭蕉の『鹿島詣(かしまもうで)』の旅に宗波(そうは)(生没年不詳)とともに従い、1689年(元禄2)の『おくのほそ道』行脚(あんぎゃ)にも随行。その間に書き留めた『曽良旅日記』は奥羽北陸旅行の実態を綿密に記録したもので、『おくのほそ道』研究上の貴重な資料である。神道家としての活動は分明を欠くが、芭蕉死没当時にはなんらかの公務に従事していたらしい。1710年(宝永7)3月、幕府の巡国使の随員として九州方面に赴いたが、5月22日壱岐(いき)国勝本で病没した。彼は隠逸閑雅を好む、温厚篤実な人物であったらしく、その俳風は温雅である。

[久富哲雄 2017年10月19日]

 春の夜はたれか初瀬(はつせ)の堂籠(だうごもり)

『安井小洒編、石川真弘他校注『古典俳文学大系8 蕉門名家句集 1』(1971・集英社)』『萩原恭男校注『おくのほそ道 付 曽良旅日記 奥細道菅菰抄』(岩波文庫)』『石川真弘編『蕉門俳人年譜集』(1982・前田書店)』

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