精選版 日本国語大辞典 「月の雫」の意味・読み・例文・類語
つき【月】 の 雫(しずく)
※俳諧・俳諧袋(1801)夏「つかれ鵜の腮(あぎと)に月のしづく哉」
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山梨県甲府市の名物で掛け物菓子の一種。特産の甲州ブドウを白い液状のざらめに浸し、ころもをかけたもので、果実菓子ともいえる。菓名は、ブドウが月の光を吸って育つという幻想的な説に想を得たといわれる。創作については松林軒3代目の鈴木音兵衛が、1877年(明治10)に庭先で砂糖を煮溶かしていたところへ、棚のブドウが一粒落ち込み、鍋(なべ)から取り出したら風味のよい菓子ができていたという偶然説がある。また、この話は1723年(享保8)で、牡丹亭(ぼたんてい)金升が主人公、月の雫の命名は時の領主柳沢吉保(よしやす)という説もある。享保(きょうほう)年間(1716~1736)に町の菓子屋が庭で高価な白砂糖を扱った話は疑わしいが、掛け物職人の発想ではある。
[沢 史生]
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