有効保護率(読み)ゆうこうほごりつ(英語表記)effective rate of protection

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有効保護率」の意味・わかりやすい解説

有効保護率
ゆうこうほごりつ
effective rate of protection

ある国内製品を作るための原材料の投入財に課される関税を考慮し,実際の保護の程度をその製品の単位付加価値で測る方法。一般に各国の関税構造は,加工度が高まるにつれ関税率が高まるというタリフ・エスカレーションを持っているので,加工度の高い最終財は,その財の関税率による見かけの保護よりも手厚い保護を受けている,というのが有効保護率の発想である。たとえば関税賦課後の輸入品の価格は,国内製品の価格と一致するので,原料・製品とも同じ関税率が課されれば,国内生産者と国外生産者は付加価値で見て同じ競争条件となり,名目保護率と有効保護率は等しくなる。しかし原料により低い関税率が適用されていると,国内生産者は割安な投入コストで生産できるので,付加価値が高まることになり,その製品の有効保護率は,名目保護率を上回る。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の有効保護率の言及

【関税】より

…しかし当該商品の原材料を輸入に頼っている場合には,原材料に対する輸入関税率の大きさによって,当該商品産業が保護される程度が影響を受ける。原材料に対する関税を考慮し,当該商品の実質的な保護の程度を表す関税率を〈有効関税率〉(有効保護率)という。第2に,関税額だけ財政収入が増加するという効果がある。…

※「有効保護率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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