有心体(読み)ウシンタイ

デジタル大辞泉 「有心体」の意味・読み・例文・類語

うしん‐たい【有心体】

藤原定家がその歌論書「毎月抄」で唱えた和歌十体の一。美的理念である有心を表す詠みぶりで、最上歌体とされる。連歌俳諧にも通じて用いる。有心よう。うしんてい。⇔無心体

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精選版 日本国語大辞典 「有心体」の意味・読み・例文・類語

うしん‐てい【有心体】

〘名〙
① 感動、風情の深い歌のすがた。余情深く妖艷(ようえん)、あるいは優艷な歌のさま。また、現実に基調をもつ整った趣と、思索的、反省的な味のある情緒、情操の深さを求める歌体概念をもいう。中世歌論で、藤原定家が、真にすぐれた歌一般のもつ価値として考えていた統一的、中心的理念。定家十体の一つとされる。うしんたい
※毎月抄(1219)「いづれの体にても、ただ有心体を存べきにて候」
※愚見抄(鎌倉後か)「十体と申は、幽玄体、長高体、有心体、事可然体、麗体、濃体、有一節体、面白体、見様体、拉鬼体、是なり」
② 連歌十体の一つ。①を連歌に適用したもの。深い心のこもっている句体。
※ささめごと(1463‐64頃)上「有心体とて心こもりたる体、長高き体とてやせさむき体をまなび」
③ 発句八体の一つ。①を俳諧に適用したもの。
※俳諧・有也無也関(1764)発句八体之事「有心体。梅の木に猶やとり木や梅の花」

うしん‐たい【有心体】

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